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プロ棋士が教える毎日のAI利用法 中村王座・片上七段対談「将棋の可能性を読む」(下)

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「スペシャリスト」が生き残りにくく

 片上「全体的に皆が最新形を指すようになってきているため、『誰々対策』というのは減ってきています。情報が増えすぎて勉強しなければならないことが多いので、相対的にある1人のために集中することが時間的に難しくなっています。同じ相手と連続して何局も戦うタイトル戦は別ですが」

 中村「ひとつの戦法に習熟したスペシャリストが減ってきていますね。スペシャリストが生き残るのは相当大変です」

 片上「300点の局面があるとします。プラス300点ならば皆がその局面を目指しますが、マイナス300点でもいいから自分の得意形に持ち込もうとすると狙われますね。皆に集中的に研究されることを避けるために『球』を散らさざるを得ないという背景があります。必然的にスペシャリストが生まれにくいのです」

 片上「例外は菅井竜也王位です。マイナス300点の局面から新手を考えてくるのがすごい。以前、大阪で10年くらい前の古い将棋年鑑の棋譜を研究しているのを見たことがあります。相当非効率な勉強方法でしょうが、菅井王位の独創性と関わりがあるのかもしれません」

 ――菅井王位は現在、豊島将之棋聖と王位戦の熱戦中です。

 中村「豊島棋聖は逆に大変AIの使い方がうまくて最先端を突っ走っている棋士だと思いますね。AIの知識も豊富で、どういう展開にすれば自分が勝ちやすいかという点も踏まえて研究して勝ちまくっています。羽生善治竜王を破った棋聖戦の、あの時間の使い方と指し手が示しています」

 片上「研究ではソフトと対戦しますが、人間とは一切指さないともいいます。楽しいのかな?(笑)。豊島棋聖の優れている部分は、正しいと信じたことを淡々と実行できる点ですよね」

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