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プロ棋士が教える毎日のAI利用法 中村王座・片上七段対談「将棋の可能性を読む」(下)

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「ソフトが何を考えているか」を観察

 中村「勝敗の直結する部分は、細かい変化まで覚えておかなきゃいけない局面もあります。しかし全部覚えようとするのは無理で、しようとも考えていません」

 片上「これからもっと将棋ソフトが強くなった時には、ある局面での200点差、300点差という評価は結論が変わってくるでしょう。しかし短期的には正しいから、現時点では勝てる可能性が高い。いくらでも記憶できる若手などは覚えちゃうのかなと思いますね」

 中村「実際そうした棋士も、いるでしょうね」

 片上「自分ではできないと思うし、ぶっちゃけ、そういった勉強法は面白くない(笑)。1日8時間やれば勝率が1割上がるとしても少し無理かな」

 ――将棋ソフトは1日約何時間使っていますか。

 片上「1日数時間は見ています。見ない日はないですね」

 中村「ソフト同士を対戦させ、その間は詰将棋などを解いていて、終局したらどういう戦いだったかチェックするという方法もあります。ソフトと対局する棋士もいますね」

 片上「ソフトが何を考えているかを観察しています。放っておくと無限に考え続けるので、1分とか10分とか区切って考えさせます。途中で候補手と評価値が画面に表れます。最終的に出る評価値はひとつですが、途中では評価値が動く候補手が出てきます。動く局面と動かない局面、何分与えても最善手がずっと同じ局面というものもあります。それらをチェックしています」

 片上「ソフトを通してプロ将棋に接して情報を浴び続けている形が日常になっています。ただ、それがどう役立っているかは、自分でもまだ分かっていない面があります」

 中村「ソフト同士の対戦を半日も指させることはあります。研究課題の局面やタイトル戦の局面を、ソフトと一緒に『次の手』として予想したりもします。ソフトが予想した手を『これは指さないだろうな』と思っていると、やはり指さなかったりもします」

 ――対局通知は2週間前に来ますね。次の対戦相手が決まってソフトの使い方をどう変えますか。

 中村「相手にこういう傾向があって、こんな指し手を指してくるといった分析はまだできないですね。自分で棋譜を研究して『相手はこういう風に来ることが多い』と判断するしかないですね」

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