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プロ棋士が教える毎日のAI利用法 中村王座・片上七段対談「将棋の可能性を読む」(下)

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 現在の日本で、人工知能(AI)利用の先進業界のひとつはプロ将棋界だ。多くの棋士が日常的にAIソフトを使った研究を続け公式戦に臨んでいる。トップクラスの棋士のひとりは「AIは人間にとって勝敗を競うものではなく能力を引き出すツール」と指摘する。中村太地王座と片上大輔七段に日常のAIソフトの利用法を聞いた。本格的なAI社会の到来を目の前にしているビジネスパーソンにも色々とヒントになりそうだ。

プロ棋士が利用するAIソフトは複数

 ――ズバリどのAIソフトを使っていますか。「企業秘密」に反しない範囲で教えて下さい。

 片上「簡単なようで複雑な質問ですね(笑)。プロ棋士間で『これに限る』といった定番ソフトはないと思います。将棋ソフトは非常に多くの製品が発売されていて、正直どれが一番良いのかを教えてほしい位です。同じソフトでも設定を自由に変えられます」

 中村「定跡を入れたり切ったり、同じ定跡でもどの局面まで進めさせるかといった使い方が可能です。局面の優劣判断に、一定の点差以上が出る定跡は組み込ませないこともできます。非常に細かく設定できるので、正直分からないですね」

 片上「プロ棋士で単体のソフトしか使っていないのは少数派でしょうね」

 ――ソフト自体の優劣ではなくて、利用する棋士が自らの目的に沿って、どう使い勝手を良くしていくかという段階に入っているのですね。

 中村「同一局面でも異なるソフトによって評価がプラスマイナスで違ってきたりします」

 ――トッププロに勝ったことで将棋AIは人間の能力を超えたとされましたが「将棋の神様」の目から見ればまだまだですか。

 中村「ソフトの判断を100%信じてはいけないですね。どのソフトを何%信じて活用するかという問題で棋士はみな悩んでいるのではないですか。ソフトの結論を取りあえず踏襲しようとする棋士もいれば、そのままでは無理があるので自分で理解、消化して取り入れようとする人もいる。一切利用しない棋士もいます」

 片上「ソフトが推奨した手を、ある局面の評価点などと記憶していきますか。勉強法として」

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