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脳科学、法律学…「将棋思考法」に脚光 中村王座・片上七段対談「将棋の可能性を読む」(上)

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 中村「判断が難しい局面で、人がびっくりさせるような手が良い結果につながるかといえば、そうではないのです。良い手でなければいけないのでハードルが高いです。最善手はひとつの局面にひとつしかないですから。現時点の段階で独創性が発揮できるのは終盤以外の段階です」

 中村「羽生竜王の中盤感覚は、ほかの棋士とは違うなと感じることが多いです。普通の人だったらこうやってくるだろうけれど、『羽生さんはこれだけはやってこないだろうな』という予想が当たることがあります(笑)、何を指してくるかまでは分かりませんが」

 中村「将棋の独創性に関しては、子供の頃から将棋以外の日々の生活でどういうものに触れてきたかも、関係してくると思います」

 片上「地方出身者から独創的な手が生まれると唱える若手棋士もいます。情報格差が東京などの都市と地方との間にあって、地方出身者は効率の良い勉強ができないから、そういう事態が生じるというわけです」

 片上「大昔は『将棋無双・図巧』といった江戸時代の詰将棋集をコツコツ解くしかありませんが、現代では情報は急激に増えていて、自分ひとりで考えるのは非効率になります。ひとつの局面を考えるにしてもほかの人にも聞いた方がいいわけです。ただ、そこからひらめきは、なかなか生まれないのかなとは思います」

大学の授業は「論理的な思考で表現できるか」

 中村「将棋のルールを覚えたての時は独創性を持っているのに、定跡などを覚えていくにつれて、少しずつ独創性が失われていくのかなという気もします」

 片上「今年の棋聖戦で羽生さんが7二飛と指していたのは、かなりびっくりしました。プロは考えてみようという発想までにも至らないのですが、アマチュアの級位者ならば一回は指してみたくなる手です。将棋ソフトから出てきた手でもないでしょう?」

 中村「違うと思います」

 片上「何か新しいことをしてみようとしていて、自分で考えついたのだと思います」

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