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脳科学、法律学…「将棋思考法」に脚光 中村王座・片上七段対談「将棋の可能性を読む」(上)

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 藤井聡太七段ら新鋭たちの活躍で注目が集まっている将棋界で、棋士の直感や思考法を「勝負の世界」の枠を超えたジャンルで生かそうという試みが進んでいる。理化学研究所の脳科学実験や首都大学東京で法学授業の現場を担当している中村太地王座と片上大輔七段との対談からは、明日の新ビジネスにつながるヒントが得られるかもしれない。

理研と「直感」の共同研究、短時間ほど高い正答率

 ――将棋界と理研との脳科学に関する共同研究は、中村王座の師匠、米長邦雄・元将棋連盟会長のリードで2008年にスタートしました。今春理研がスタートさせた脳神経科学研究センターの発足記念シンポジウムでは、中村王座がゲストで講演していました。

 中村「将棋界と理研との脳科学に関する共同研究で、プロ1年生だった私も頭に電極を付けて眼球の動きを追うといった実験に参加しました」

 ――思考に関わる脳機能の解明を目指す理研と、将棋を脳機能の活性化や認知症予防に生かしたい将棋界との希望が一致しました。講演では「人工知能(AI)や新技術のかじ取りをうまくして私たちの見たことのない世界を見せてほしい」と期待を述べていました。片上七段も実験には参加していますね。

 片上「実験に2回参加し、簡単な局面や詰将棋を見て最初に浮かぶ手を回答しました。反応の速度の差を専門家のプロ棋士と一般の方とで分析する実験でした」

 ――詰将棋の結果、棋士は思考時間が短いほど高い正答率を示し、特に思考時間が0秒の時の正答率は80%あったと報告されています。アマチュア四段程度の将棋愛好家は正答率が低かったそうです。

 片上「プロは直感で選んだ手の正答率が高かったという結果は納得がいきます。逆に長考した場合は難しいです。本当に懸命に考えた手が正解かどうかも分からないですしね」

 中村「直感は棋士にとって運動神経のような面があります。棋士が長考している時は考えても考えても結論を出せずに悩んでいる時です」

 片上「限られた選択肢の中から『多分これが最善手だな』と予想できる手があります。その直感を裏付ける理由が欲しいです。結局は直感で浮かんだ手を指すことも多いのですが具体的な根拠が得られれば自信を持って指せます」

 中村「大体の場合は20~30分で指す手が自信を持って指せる手です。1時間を超えるときはもう分からない(笑)」

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