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教える気持ちがあればシニアも教え方は上達する トレノケート シニア人材教育コンサルタント 田中淳子

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 前回は、シニアの強みを生かして、仕事を教え、胆力でトラブルにも対応し、後進のために人脈を使おう、と書いた。今回は「仕事を教える」部分をもう少し詳しく解説する。

 30代のITエンジニアがあるとき、こんな愚痴をこぼしていた。

 「うちにチョーベテランのエンジニアがいるんですけど、その人の担当している仕事が全くブラックボックスで、他の人に全然わからないんです。その人がいないと担当システムのことがわからない。マニュアル作ってくれ、他の人にもわかるようにしておいてほしい、と何度か言ってみたのですが、全然、取り合ってくれません」

 こういうとき、「上司は何をしているんだろう?」と疑問に思うが、よくよく聞くと、上司もそのシニアに何も言っていないわけではないのだが、上司は上司で忙しいので、シニアの一挙手一投足に細かく口を出す時間もなく、ある意味、あきらめているという。

 年長者に関わる時間があったら、これからを担う若手に時間を割きたいという上司の気持ちもわからなくもない。それに、「オトナなのだから、いちいち言わなくてもわかって欲しい」という期待があるのか、もしかすると、「その人がいなくなったらなったで、そのとき考えればよい」と問題の先送りをしているだけなのかもしれない。

 とにかく、このように「シニアが自分の仕事を進んで“属人化”していて、全く開示しない。その仕事内容を他者に伝承しない」という話は、よく耳にする。

 このタイプは、本人に「次の世代に伝えよう」とか「後輩たちに教えよう」とか「他の人でもわかるようにしておこう」という考えがないので、タチが悪い。

 この場合、業務命令で引き継ぎ資料を作成させるという強硬手段を取らない限り、どうにもならないのかもしれない(このレベルの人に対する処方箋を申し訳ないが私も持ち合わせていない。現場の「上司も無力」「若手からお願いしてもダメ」という声に、似たケースで苦労した経験がある私はただひたすらハゲシク共感するばかりである)。

「教える気持ちはあるのだが、うまくできない」場合は処方箋あり

 そこで、もう少し易しいケースで考えてみたい。教える気はある。伝承する気持ちもないわけではない。だけれど、教えるスキルがないという人がどう教えればよいか、である。シニア世代は、おそらく、自分もきちんと教えてもらったことがない。「仕事は盗むものだ」「上司や先輩の背中を見て覚えろ」といったことを言われ、本人もそう思い込み、教えられる経験も教える経験もほとんどしたことがないまま歳を重ねてしまったという人も多いだろう。だから、いざ、誰かに教えようとしても、何をどうすればよいのかわからない。実際にやってみても教え方が下手すぎて、後輩たちが理解できないことも少なくない。

 だが、「教える気持ちはあるのだが、うまくできない」という人には処方箋がある。教えるための知識とスキルを得て、実践を繰り返せば、今よりはうまく教えられるようになる。要するに、やる気を持って繰り返せば必ず上達する。なぜか?「教える力」は「テクニック」だからだ。

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