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中国の金融危機「5年内の確率40%」 関辰一・日本総合研究所副主任研究員に聞く(2)

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■危険度が高くなる「19年後半」

 ――日本の金融危機対策は公的資金の投入などが「遅すぎ、少なすぎる」と批判を受けました。1990年代後半からは破たんが続き、金融機関の数が大きく減少しました。

 「政治体制の違う中国は日本に比べ迅速に資金投入はできるかもしれません。しかし金融機関が自らの経営難を正確に公表しなければ適切な公的資金を投入できない恐れがあります。国有の大型商業銀行でも不良債権の実態を明らかにすると格付けが引き下げられ、経営が厳しくなります」

 「政府が十分な公的資金を確保できるかも焦点です。潜在的な不良債権残高約12.5兆元に対して商業銀の貸倒引当金は約2.3兆元にすぎません。金融機関に余力がなければ、いざの時には差額約10.2兆元分を政府が捻出する必要があります。しかし中央政府の財政収入総額は約6.9兆元、地方政府は約8.3兆元です」

 「1929年の大恐慌は米フーバー政権が緊縮財政政策を採ったことが引き金になりました。日本でも橋本政権の緊縮政策で景気が腰折れになりました。中国でも政府のハンドリングに注意が必要です」

 ――中国の金融危機の可能性をどう予測していますか。

 「中国経済はいまだ発展水準が低いために成長する余地は大きく、バブル期の日本と一緒にしてはいけないという議論もあります。しかし1800年から2008年までの268件の金融危機を研究した米ハーバード大のケネス・ロゴフ教授が言うように、金融危機はあらゆる発展段階の国を区別なく襲うものです。楽観的にはなれません。」

 「注意すべきは、与信が急拡大すると金融危機に陥りやすいという点です。中国は最近5年間で銀行融資残高の対GDP比が112%から143%へ31ポイント高まりました」

 「IMFの研究では、過去5年間で総与信の対GDP比が30ポイント以上高まったのは全世界で42カ国あり、18カ国が5年以内に金融危機を伴うハードランディングに陥ったことが分かっています。中国が5年後の22年までに金融危機に陥る可能性は40%と見ています」

 ――今後の5年間で最も可能性が高まる時期はいつだと考えていますか。

 「最も警戒が必要となるのは、米国で景気後退期の始まりが予想されている19年後半からでしょう」

 (聞き手は松本治人)

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、プレーヤー、経営、国際情勢

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