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中国の金融危機「5年内の確率40%」 関辰一・日本総合研究所副主任研究員に聞く(2)

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 「潜在的に危険な借入金をみると採掘業762億元、不動産業612億元、卸小売り563億元となっています。これらの分野向け融資の不良債権化で銀行経営が揺らぐ恐れがあります」

卸小売業、日本のバブル期と似た状況に

 ――過剰債務・過剰投資の問題が深刻化している重工業や採掘業、不動産業で潜在不良債権率が高いのは予想していました。しかし卸小売業でも高水準なのは意外です。

 「日本のバブル期にはダイエーなどの大手小売業が、新店舗の立地条件の良さを求めて積極的に借入金を増やし、バブル崩壊後の経営破綻への原因となりました。中国でも大型スーパーや百貨店の過剰感が高まり不採算店舗を整理する動きが出てきています」

 ――中国全体の不良債権規模はどれくらいになるのでしょうか。

 「金融機関の帳簿に載っている与信規模(2015年末時点)は、人民元建て融資と外貨建て融資の合計額である95.8兆元になります」

 「金融機関が実質的にリスクを負うオフバランス(簿外)の与信は、『銀行理財商品』約23.5兆元、『委託融資』約10.9兆元、『信託融資』約14.7兆元の総計である約49.1兆元です。95.8兆元と49.1兆元の合計である与信総額約144.9兆元のち8.6%が潜在的な不良債権総額だとすると約12.5兆元となります」

 「これは、国内総生産(GDP)の18.5%にあたる数字であり、公式統計の10倍の金額です。公式統計は不良債権の認定基準が緩いことやオフバランスの与信が対象に入っていないこと、商業銀行以外の不良債権が算入されていないことなどが、推計値と公式統計の数値が大きく乖離(かいり)する理由です」

 ――潜在的な不良債権総額がGDPの2割程度もあるとすると、ちょっとした金融機関の破綻が中国発の金融危機の引き金となっても、おかしくないですね。

 「15年に河南省や河北省の中小金融機関での取り付け騒ぎが報じられましたが、いずれも各市の公安や警察が『根拠のないうわさを広めた』と1人または数人を拘束しました。これまで商業銀行の破綻はみられていません」

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