BizGateリポート/営業

中国の金融危機「5年内の確率40%」 関辰一・日本総合研究所副主任研究員に聞く(2)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

■潜在不良債権比率は公式統計の5倍

 ――新著では中国銀行業務監督管理委員会や国際通貨基金(IMF)の研究を参考にして中国の「潜在不良債権比率」(2015年末)を独自に算出していますね。全企業の債務総額のうち何%の債務が「潜在的に危険な企業」のものかを試算しました。

 「上海証券取引所と深圳証券取引所の全上場企業2850社のデータを分析しました。このうち借入金及び支払利息のある上場非金融企業は2327社で借入金合計は8兆5449億元でした(1元=16.3円)」

 「一方、支払利息をEBITDA(利払前・税引前・償却前利益、営業活動によるキャッシュインフロー)で賄えない『潜在的に危険な企業』は223社で、借入金合計は7370億元です。8兆5449億元のうちの7370億元となりますので、潜在不良債権率は8.6%で公式統計1.7%の約5倍の高水準となります」

 「これだけ大きな違いが生じたのは、公式統計は銀行が報告した数字である一方、潜在不良債権比率は借り手企業の財務データから推計した数字であるからです。銀行の不良債権の認定基準が甘くなると、公式の不良債権比率は低下しますが、客観的なデータを基にしている潜在不良債権比率は影響を受けません」

鉄・金属加工業の比率は5割超す

 ――業種別に見るとどうでしょうか。

 「製造業の潜在不良債権比率が高く18.9%で、『潜在的に危険な借入金』が4918億元に上ります。特に鉄・金属加工業では51.7%、2179億元に上り、全30社のうち15社が営業キャッシュフローで支払い利息を払えない状況です」

 「さらに鉄道車両・船舶・航空機は44.8%。石油加工・コークス製造が36.7%と極めて高水準にあります。他方、自動車や電気機械ではそれぞれ2.0%、0.9%と低水準にとどまっています」

 「製造業以外でも、農林漁業17.6%、卸小売業が17.1%とやはり高水準です。コングマリットが14.3%、採掘業7.1%、運輸・倉庫5.9%、不動産業が4.4%と続きます。非上場の不動産企業が高利でシャドーバンキングから膨大な資金調達していることを考えれば、不動産業の不良債権問題の実態はさらに深刻とみられます」

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。