BizGateリポート/営業

中国の金融危機「5年内の確率40%」 関辰一・日本総合研究所副主任研究員に聞く(2)

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 米中貿易戦争が泥沼化しつつある一方、中国金融リスクの高まりを懸念する声も大きくなっている。かつての日本のバブル期に似てきたとする分析も少なくない。「中国 経済成長の罠」(日本経済新聞出版社)の著者、関辰一・日本総合研究所副主任研究員は独自に「潜在不良債権比率」を推計した。中国の金融危機は起こるのか。いつが危険なのか。関氏の分析を聞いた。

「最も危険な銀行」より危ない金融機関

 ――米中貿易戦争が長期化の様相を見せる一方、中国経済の主に内部的要因から金融リスクも高まってきています。新著で日本のバブル期との類似性を分析していますね。

 「中国の金融システムは銀行中心の間接金融のシェアが大きく、米英のような資本市場中心ではありません。企業の資金調達総額の7割は、銀行からの借入金が占めています」

 「中国とバブル期の日本は(1)人為的な低金利(2)事実上の金融機関保護(3)脆弱な中央銀行の独立性――で似通っています。中国政府は規制によって低い金利環境を作り出して、投資を促進し経済成長を高める政策をとっています」

 「中国工商銀、中国農業銀、中国銀、中国建設銀、交通銀の『5大銀行』は政府・政府ファンドが筆頭株主です。政府が資金配分をコントロールする一方、金融機関を経営破綻から守っています」

 「日銀は財政当局によるプレッシャーを跳ね返すだけの独立性を確保していなかったため、1988年の夏ごろから金融引き締めに転換した米国や西ドイツ(当時)の中央銀行に半年遅れ、その分信用膨張が続きました。中国人民銀は政府の一つの組織にすぎず、独自に金融政策を決めることができません」

 「このような統制色の強い金融システムによって、中国ではバブル期の日本以上に信用膨張しています」

 ――昨年9月に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は中国招商銀行を、高リスクの銀行理財商品を最も多く取り扱っている中規模な銀行という理由で、「中国の最も危険な銀行」と報道しました。

 「農村商業銀行(全国に1114行)や農村信用社(同1125社)などの財務データを開示していない中小金融機関の方が危険性が高いかもしれません。これらの金融機関は本来業務と離れて不動産開発や銀行理財商品も手掛けています。2017年には複数の農村商業銀が銀行間市場で債務不履行になりかけ、市場に緊張が走りました」

 「公式統計では農村信用社の不良債権比率は商業銀行の2.5倍です。銀行理財商品のデフォルトが多発すると、多く扱ってきた中小金融機関から破綻していく可能性は払拭できません」

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。