経営層のための「稼ぐ力」を高める不動産戦略

働き方改革法対策 オフィス編(2)「働きたい!」と思うGAFAの職場 JLL 執行役員 コーポレート営業本部長 佐藤 俊朗氏

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 今回は働き方改革関連法そのものではなく、実際に働き方改革を進めている事例を取り上げます。それはGAFA(ガーファ)と呼ばれる企業です。GAFAには、人が「ここで働きたい!」と思うオフィスがあります。GAFAとはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの米4社の頭文字をとった造語です。勝ち組と言えるGAFAの強さは米トランプ政権の経済政策に支えられているのではありません。各企業が「稼ぐ力」を高めるため、自ら戦略を立て、必要な投資を行っているからだと思います。

 GAFAのように、世の中を変えてイノベーションを起こし続ける企業にとって、最も重要な経営資源はそこで働く人です。優秀な働き手を引きつけるこれらの企業は例外なく、オフィスへ多額の投資をしています。人が「ここで働きたい!思い切り働ける!」と感じる環境を創っています。それが稼ぐ力の源泉となり、企業価値を高めていく。これがこうした企業のROIC(投下資本利益率)に基づく財務戦略なのです。これからの時代はオフィス戦略でビジネスの勝負が決まると言えるでしょう。

働き方改革の目指すもの

 働き方改革法の施行まで大企業では約半年、中小企業ではその1年後です。では「働き方改革の目指すもの」(厚生労働省)とは何か。同省は「投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題」としています。また、「働き方改革は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています」と書いています。これを読んで、ピンとくる経営者はどのくらいいるでしょうか。

 日本の労働者が残業もいとわず長時間働いてきたことで、世界第3位のGDP(国民総生産)まで押し上げてきた側面があることは否定できません。しかし、現在は極端な少子高齢化が進行しており、有効求人倍率は1.62倍(2018年6月全国平均値)と44年ぶりの高い水準で、人手不足が深刻です。これからは、時短を中核とする働き方改革法の施行により、働き手が企業に提供する総労働時間は縮小することになります。

 一方で、経済成長を続けさせるという矛盾に向き合うには、働き手の時間当たりの生産性を向上させるしかない、という結論に行きつきます。前述の「意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ること」はもちろん重要ですが、その前提となる、時短を進めつつ生産性を向上させる環境はいまだに整っていないのが日本の現状です。

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