ドリルで学ぶ! 人を動かす資料のつくりかた

知れば納得!あなたが図解を使えない3つの理由 ルバート代表取締役 松上純一郎

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多くの人はグラフが苦手な理由

 これほど便利なグラフですが、ビジネスパーソンのグラフを利用するスキルは高いとは言えません。今まで多くのクライアントの作成する資料を見てきましたが、データを示すのに不適切なグラフを使用しているケースが大変多いのです。持元(2011)※の調査によると、大学生のグラフを運用する能力が低いことが報告されています。特に、データに隠された意味を正しく伝えるのにふさわしいグラフを選択するスキルが低いと報告されています。

※持元江津子(2011)「現役大学生のグラフ作成スキルの現状と課題について――関西二つの大学を事例として」『聖泉論叢』19号

 多くの方がグラフを使えない理由は次の3つです。1つ目の理由はそもそも「グラフ自体の特性を知らないこと」です。中学や高校の数学でデータをグラフで見せる訓練をしていないため、多くのビジネスパーソンにグラフの基本的な素養が不足しています。2つ目の理由は「何のデータをどのグラフで示すか知らないこと」です。データの見せ方を訓練する機会は学校にも会社にもほとんどありません。3つ目の理由は「間違ったグラフの使い方があふれていること」です。例えば以下の例が代表的なものです。本来は積み上げグラフを使うべきところ、円グラフを使うことによりわかりにくくなってしまっています。

 グラフを使いこなすことも重要ですが、実はそれと同時にグラフのリテラシーを上げていくことが必要なのです。ますます重要になるグラフリテラシービジネスパーソンのグラフを使用する能力は決して高いとは言えない現状の一方で、データを分析し、グラフで示す能力(グラフリテラシー)は今後ますます重要になってきます。

 IoT機器が普及する中でビッグデータ分析の領域は拡大するばかりです。人やモノの様々なデータがリアルタイムに大量に収集され、分析され、サービスや商品開発に活かされています。その中で重要となるのが、ビッグデータを用いて人を説得する技術です。データはあくまで数字の羅列でしかありません。

 そのデータを仮説をもって分析し、示唆を見つけ出し、グラフで示して人を説得する力がなければビッグデータの恩恵にあずかることはできません。

 では、どのようにすればグラフを使いこなせるようになるのでしょうか。それはできない理由である、「グラフの特性を知らない」「何のデータをどのグラフで示すか知らない」「間違ったグラフの使い方があふれている」にヒントがあります。つまりグラフを使いこなすためには、「グラフの特性」を知り、「どのようなデータをどのグラフで示すかというパターン」を学び、そして「間違ったグラフの使い方を見抜く力」を身につける必要があるということです。これにはグラフに関する知識と、練習が必要です。

松上純一郎著 『ドリルで学ぶ! 人を動かす資料のつくりかた』(日本経済新聞出版社、2018年)「1章 図解とグラフで人を動かす」から
松上 純一郎(まつがみ・じゅんいちろう)
同志社大学文学部卒業、神戸大学大学院修了、英国University of East Anglia 修士課程修了。米国戦略コンサルティングファームのモニターグループで、外資系製薬企業のマーケティング・営業戦略、国内企業の海外進出戦略の策定に従事。その後、NGOに転じ、アライアンス・フォーラム財団にて企業の新興国進出サポート(バングラディシュやアフリカ・ザンビアでのソーラーパネルプロジェクト、栄養食品開発プロジェクト等)や栄養改善プロジェクトに携わる。現在は株式会社ルバート代表取締役を務める。ルバートにて企業に対して中期事業計画策定等のコンサルティングを提供する一方で、自身のコンサルティング経験から、提案を伝え、人を動かす技術を多くの人に広めたいという想いで、2010年より個人向けの資料作成講座を開始。毎回キャンセル待ちが出る人気講座となっている。個人のみならず企業向けの研修サービスに拡大し、ビジネスパーソンに必要なスキルの普及と啓蒙に努めている。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、マーケティング

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