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ステークホルダーの協力を効果的に得るには? マネジメントソリューションズ 横地真吾

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 プロジェクトは何らかの「価値」を生み出すことを目的として組成される活動であり、プロジェクトマネジャーは、その目的を達成することを使命として任命されます。しかし、プロジェクトに関わるステークホルダー(利害関係者)の貢献・協力なしにその目的を達成することは不可能といってよいでしょう。今回は、ステークホルダーと強い協働関係を築くためのステークホルダー・エンゲージメント・マネジメントに関する筆者なりの考えを共有したいと思います。

Q ステークホルダーの協力を効果的に得るにはどうすればよいでしょうか?
A ステークホルダーとの「価値の交換」を通じて、強い協働関係を構築します。

 ステークホルダーとは、プロジェクトの活動や成果に、影響したり・されたりする、個人や組織です。企業においては、株主、経営者、顧客、スポンサー、サプライヤーなど幅広い人々や組織がステークホルダーになり得ます。そしてそのステークホルダーとプロジェクトのつながりを深め、良好な関係を構築・維持することがステークホルダー・エンゲージメント・マネジメントです。エンゲージメントは普段、「約束」「婚約」などと訳しますが、プロジェクトマネジメントの世界では、「つながり」「関係性」と訳します。

プロジェクトとステークホルダーは「価値の交換」でつながる

 皆さんは、プロジェクトにおける、ステークホルダーとの「つながり」について考えたことがありますか?図のようにステークホルダーはそれぞれ、プロジェクトに対する「価値の交換」を通じて、プロジェクトとつながっています(プロジェクトチームも同様です)。

 プロジェクトマネジャーは、ステークホルダーがそれぞれ求める「価値」(これは後述します)をステークホルダーへ行き渡るようにプロジェクトの方向性を調整し、その一方でステークホルダーに何らかの形でプロジェクトに貢献・協力をしてもらうことによって、プロジェクトの目的である「価値」の実現につなげます。これこそが「価値の交換」であり、この価値の交換をできるだけ効果的に行うことがステークホルダー・エンゲージメント・マネジメントの本質です。

 プロジェクトの規模が大きくなるとステークホルダー・エンゲージメント・マネジメントはより重要になります。一つの大きな目的達成に向け、同一組織内で三つのプロジェクトを立ち上げた場合を考えてみます。

 この三つのプロジェクトは、個別に小目的を持っていますが、組織全体の大目的を達成しなければ真の「価値」は生まれないという関係にあります。例えば企業経営における「製造改革」「販売改革」「物流改革」の各プロジェクトのような関係です。そこでは、三つのプロジェクトが、「企業競争力の向上」といった大目的の達成に向けてより大規模な協働関係をつくることが必要となります。

 一方、組織内のリソース(ヒト・モノ・カネ)は限られています。プロジェクトスタート時、組織のリソースを三つのプロジェクトへ適切に割り当てたとしても、途中で大きな計画ミスが発覚すると調整は必至です。

 そのとき、三つのプロジェクトがリソースを奪い合う状況と、協働して最善の調整を行う状況のどちらが好ましいかは明らかでしょう。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざもあるように、一人よりも複数が知恵を絞ったほうがより良い解決策が出る可能性は高まります。これは組織も同じです。

 そして、協働して最善の調整を行えるかどうかは、組織全体への大目的の浸透度合いに加えて。三つのプロジェクトそれぞれのプロジェクトマネジャーが日ごろからステークホルダーとの「価値の交換」を通じて、どれくらい強い協働関係を構築しているかに依存するのです。

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