日本的デジタル化の落とし穴

データ経済圏の主役、プラットフォーム企業の価値と未来(前編) 最終回 筑波大学・立本教授、楽天・河野常務執行役員、LINE・藤井執行役員、アクセンチュア・木原氏による座談会

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協力:アクセンチュア

 経営コンサルティング大手、アクセンチュアのコンサルタントが様々な分野のエキスパートと対談し、日本的デジタル化の要諦を探る連載シリーズ。最終回は「プラットフォーマーの未来~そこから生まれる新たな経済圏」をテーマに、筑波大学・立本博文氏(ビジネスサイエンス系 教授)、楽天・河野奈保氏(常務執行役員 コマースカンパニー シニアヴァイスプレジデント カンパニーCOO&カンパニーCMO)、LINE・藤井英雄氏(執行役員 コマース・O2O事業担当)、アクセンチュア・木原久明氏(金融サービス本部 ディストリビューション&マーケティンググループ統括 マネジング・ディレクター)による座談会を、アクセンチュア・古嶋雅史(通信・メディア・ハイテク本部 デジタルビジネス統括 マネジング・ディレクター)の司会で前後編にわたりお届けする。前編ではプラットフォーム企業の価値について掘り下げる。

市場で過小評価される日本のプラットフォーム企業

古嶋 今回は、『プラットフォーム企業のグローバル戦略』を著されている筑波大学ビジネスサイエンス系・立本さん、日本におけるプラットフォーム企業の代表的存在である楽天の河野奈保さん、LINEの藤井英雄さんに参加いただき、プラットフォーム企業の価値や未来と、デジタル化で開かれる新たな経済圏について議論したいと思います。このテーマは金融とも深い関係があるため、弊社の金融業界向けデジタルビジネスを統括する木原久明が参加します。

 まず日本の市場を客観的に理解するために2007年と2017年における、世界と日本の株式時価総額トップ10企業を見てみましょう。2007年の世界トップは石油資源系企業や金融機関が主ですが10年後はほとんどが米・中のプラットフォーム企業になりました。対して日本はこの10年ほとんど顔ぶれが変わっていないのに加えて、これだけ社会に影響を与えてきたプラットフォーム企業が皆無です。なぜ世界と日本のビジネスの進化はこれだけ違うのでしょうか?

立本 世界的に産業構造が大きく変わるなか、日本企業はその変化へ十分に対応できていないためでしょう。一つはビジネスのデジタル化です。2017年の世界トップ10には、デジタル化に対応して成長したプラットフォーム企業が多数登場していますが、日本のトップ10には登場しません。もう一つはグローバル化で、日本のトップ10にも、トヨタ自動車のようなグローバル企業は入っていますが、国内市場でのドメスティックジャイアントが目立ちます。

古嶋 楽天さんやLINEさんはサービスの利用者数、事業地域の広さ、新サービスの数を急速に増やし、これだけ日本社会に影響を与えているのに日本のトップ10に入っていません。市場の評価が追い付いていないように感じられますか?

河野 ご指摘のように日本のプラットフォーム企業は、海外の企業ほど評価されていないとは感じますが、海外のプラットフォーム企業と事業構成が違うのも理由でしょう。世界トップ10に登場する海外のプラットフォーム企業は、一つの大きな製品やサービス、それも世界中の誰もが知っているほどの絶対的なものをベースに関連サービスを増やしており、投資家にとってわかりやすいのだと思います。

 楽天グループも創業当初は「楽天市場」という大きなサービスと、その関連サービスを展開する事業構成でした。しかし現在は、70以上の多様なサービスを展開しており、EC(電子商取引)、金融サービス、通信サービスといったように事業の柱が複数あります。それぞれは単独でも大きな価値がありますが、さらに各事業が複合的に連携している点を伝えきれていないと感じます。楽天グループではそうした状況を改善するために事業の価値をよりわかりやすく開示することで、株式時価総額がより実際の価値を反映するように務めています。

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