日本的デジタル化の落とし穴

ブロックチェーンがもたらす次の破壊と創造 第6回 日本銀行・副島豊、gumi・國光宏尚、アクセンチュア・高橋良之の3氏による鼎談

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

ブロックチェーンの可能性を追求して日本を世界のリーダーに

國光 これからの話になると、第3世代以降のブロックチェーンの活用ではトークンエコノミー(代替貨幣の経済)も発展するでしょう。特に個人によるトークンの発行に興味を持っています。資本主義の発展で大きな発明の一つが株式会社で、株式会社では起業家のビジョンをベースに株式を発行して投資家からお金を集め、事業を成長させて報酬として返すことが可能になりました。そうした仕組みが洗練されてきたのが今のシリコンバレーのスタートアップのような形態だと思います。同じような仕組みを個人とトークンで作ることできれば若者もハッピーですし、トークンを買った人もハッピーになります。例えば、ある若者が将来、プロのサッカー選手になりたいと思ったとき、個人に投資するような感覚で彼のトークンを購入し、彼が将来、プロ選手になってワールドカップなどで出たときに、そのトークン価値も上がるような仕組みです。

 クラウドファンディングと似ていますが、こちらはファンしか参加しません。それに対して、個人がトークンを発行できて、値動きが生まれれば投資家もトークンを買うようになって、より大きな資金が集まるようになります。また、何十億人という個人が発行する可能性があるトークンを中央集権型の取引所で取引するのは無理です。となると取引所が分権化された仕組みが求められます。

副島 個人がトークンを発行する場合は、人数が多いだけに情報量が多すぎて人間は処理できない恐れがあるのでは?また、個人に投資する際には個人の情報を収集しなければなりません。株式市場すら企業と投資家の間には大きな情報の非対称性があって、企業広報や金融産業がそのギャップを埋めているのですが、容易ではありません。個人の場合、公平で効率的な取引が成立しなくなってしまう恐れはありますね。

國光 そうときには、ベンチャーキャピタルやベンチャー向けメディアの個人版とでもいうべき仕事ができるのではないでしょうか。例えば、スポーツ選手を目指している若者の目利きをして、その情報を流通させる仕事です。ベンチャーキャピタルならぬ「ヒューマンキャピタル」です。

 今は個人が夢を追い求めて資金を集めようと思うと、資金的な支援を受けて会社を設立するしかなく、自分が会社のオーナーになることはできません。しかし、個人がトークンを発行できるようになると組織に属する必要がないので、いろいろなキャリアをパラレルに経験しながら、パラレルな夢を追いかけるこれからの時代に合うと思います。

 そして、多数の個人への直接投資を実現する仕組みとしてはブロックチェーンが向いていると思います。とはいえ、今はブロックチェーンのトークンで個人の投資の基盤を作ろうと思うと仮想通貨交換業への登録が必要で、そうなると取引所と同じように厳格な仕組みが必要になるなど、ハードルが一気に高くなる状況です。事業内容に即した免許や規制のあり方を柔軟に設計していく必要性があると関係各所に訴えているところです。

 これまで日本では適切な規制があったおかげで、日本が仮想通貨大国になったと思います。日本で事業をしたいという起業家もエンジニアの人も投資家も出てきました。相当な税収入もあったはずです。しかし、昨今の規制の強化に伴って日本で新規のトークンを発行するプロジェクトは事実上不可能になっています。従って、起業家などはみな海外に流出してしまっています。日本の取引所で扱えるトークン(仮想通貨)も少なすぎるので、海外の取引所を使っている状況です。

 仮想通貨やブロックチェーンについて日本はこれまで適正な規制によって勢いを得て、起業家などに大きなビジネスチャンスを提供してきたと思います。今のような状況は急いで変えるべきでしょう。足許、世界で株式時価総額が上位の企業はほとんどテクノロジー企業や金融業です。それらが融合して生まれた仮想通貨やブロックチェーンは急激に市場が広がりつつあり、そこで世界のリーダーになるという大きな気概を持つ起業家を国全体で後押しできるようにするべきだと思います。

高橋 多くのイノベーションが求められる中、個人でトークンを発行し、新たなことにチャレンジできるようになるというのは、社会全体にプラスの影響をもたらす大変大きな可能性を感じますね。また、適切な規制の必要性も理解できます。アクセンチュアは、産業界、官公庁ともお仕事をさせていただいており、ブロックチェーンなどのテクノロジーを使った新しい試みをお客様と実施する中で、規制の在り方の重要性を再認識することがあります。規制によって、勢いを増すこともあれば、逆にそがれることもある。産官連携して、より多くの試みを試し、サービス化していけるようにしていきたいと思います。

 みなさま、今日はどうもありがとうございました。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、技術、プレーヤー、イノベーション、AI、ICT

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。