日本的デジタル化の落とし穴

ブロックチェーンがもたらす次の破壊と創造 第6回 日本銀行・副島豊、gumi・國光宏尚、アクセンチュア・高橋良之の3氏による鼎談

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高橋 改めて、ブロックチェーンをビジネスで活用する上では、トークンが重要だなと感じました。ネットワークへの参加者への報酬設計としても重要ですし、そのトークンに価値を持たせることも重要だなと。國光さんのお話をきいて、サービス利用者に実利があれば、トークンの価値があがり、トークンを介して様々なものがP2Pでシェアできるようになれば、無駄も減るということかなと。シェアリングエコノミーに大変相性がいいと感じます。

國光 「ブロックチェーンには価値がない」「トークンでもある仮想通貨には価値がない」といったことも言われなくなるでしょう。サービス提供者は、動画配信のコストがかからなくなる、利用者は取引所で手数料を取られなくなるといった実利があります。インターネットの大きな価値は、流通の仲介者を除いて、生産者と消費者をできるだけ直接つなげていったところでしょう。ブロックチェーンやスマートコントラクトなら、同じことをP2Pで実現できます。

大手事業者も第3~4世代の世界では安泰ではない可能性

高橋 そうなると、今、データやAI(人工知能)などのクラウドサービスを中央集権的に1手に握っているようなディスラプターの代表格のような事業者もブロックチェーンにおける第3~4世代の活用の世界がくると、安泰ではない可能性があるのでしょうか?

國光 米サンフランシスコやシリコンバレーによく行くのですが、これまでブロックチェーンでシリコンバレーが出遅れている状況が急速に変わりつつあります。昨年までは起業家やエンジニアに人気がある分野はAIでした。それが今年はぶっちぎりでブロックチェーンです。

 これまでビットコインや仮想通貨に取り組んできたのは政府やその通貨に対する信用が比較的低い国の起業家やエンジニアでした。アメリカはこれまで政府や通貨に対する信任が厚かったので、彼らの肌からのニーズとして感じていなかったのでしょう。これは私見ですが、それが変わったきっかけは、トランプ大統領の就任と、ケンブリッジアナリティカによるフェイスブックのデータ不正利用疑惑です。

 トランプ大統領の件はわかりやすいと思います。サンフランシスコやシリコンバレーでトランプ大統領のことを良くいう人は少ないようです。トランプ氏が大統領になったことは、自分たちの国に対する信頼が揺らぐほどのインパクトがあったようです。

 フェイスブックのデータ不正利用事件は日本でのとらえ方と全然違っており、アメリカでは想像以上のインパクトがありました。これはフェイスブックの一部のデータをケンブリッジアナリティカが不正収集・利用して、トランプ氏を選挙で勝たせたかもしれないという疑惑です。フェイスブックはむしろ被害者なのですが、問題となっているのは、フェイスブックのごく一部のデータ不正利用がトランプ氏を勝たせた可能性がある――つまり、フェイスブックが全力で選挙を左右しようと思えば「できてしまうのではないか?」ということ。「1企業がそこまで大きな力を持っていいのか?」という問題で、気づいたら「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と言われる少数の大企業に支配されていて、ほとんどのスタートアップ会社は買収されるしかないみたいな雰囲気になっている。そうした閉塞感を打破するため、ブロックチェーンによって分権化を進め、人々に力を分け与えようとしているという大きな流れがアメリカで生まれていると感じます。

高橋 これはトランプ大統領の当選があまりにも一部のアメリカ人にとって心のトラウマになったせいで、GAFAがとてつもなく中央集権的にデータを集めている状況に対する恐怖心が生まれたようにも考えることができます。

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