ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

総会シーズン 「企業再生」の古典から新刊まで 橋本忠明・「TOP POINT」編集長

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「V字回復の経営」

 本書(三枝匡著/日本経済新聞出版社)は、不振事業の再建に取り組むリーダーの姿をドラマ仕立てで描きながら、その過程で重要ポイントの解説を加えるという、非常に読み手が理解しやすい構成となっている。いかにして変革を進めていけばよいのか、というテーマに関する教科書的な一冊だ。

 三枝氏は変革の手順として「8つのステップ」を 説く。(1)「このままいけば事業はどうなるか」という「成り行きのシナリオ」を描く。(2)「成り行きのシナリオ」と「あるべき姿」を比べて、社内に切迫感や危機感を作り出す。(3)問題を生じさせている原因を分析する――。ここまでが前半戦だ。

 さらに(4)改革へのシナリオを作る。(5)決断を下しながら、改革シナリオを固めていく。(6)改革シナリオを各部署の行動計画へと落とし込む。(7)改革を愚直に実行する。(8)リスクに挑戦したチームの努力や成果を正当に認知・評価するーーという道程を説く。

「企業変革力

 ハーバード・ビジネス・スクールのジョン・P・コッター教授は、本書(日経BP社)で、「企業変革はなぜ失敗するのか」をまず説き、次に、変革を成功させるための具体的方法として「8段階の変革プロセス」を解説する。

 すなわち(1)従業員の危機感を高める 。(2)変革推進のための「連帯チーム」を築く。(3)ビジョンと戦略を明確にする 。(4)変革のためのビジョンを従業員に周知徹底する 。(5)従業員が自発的に変革に向けて行動できるように、組織や人事制度を変える。(6)短期的な成果を実現することで、改革の勢いを増す。(7)変革の途中で、新しい推進者を登用したりして、変革プロセスを強化する。(8)変革によって生み出された新しい行動様式が企業文化に根づくまでは努力の手を緩めない ーーである。

 この2冊の書が提示する改革の方法論はよく似ている。いずれも、変革のスタートにあたっては、まず社員全員の切迫感や危機感を高めることで共通している。特にコッター教授は、危機感を高めることが企業変革の最大の難関であるとして、その高め方をテーマにした「企業変革の核心」(日経BP社刊)も著している。

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