ビジネス書の目利きが選ぶ今月の3冊

総会シーズン 「企業再生」の古典から新刊まで 橋本忠明・「TOP POINT」編集長

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 3月期決算企業の株主総会は28日がピークで、約700社が一斉に開いたという。今年は注目を集めた東芝を始め「企業再生」が大きなテーマのひとつになっていた。

■「ルネッサンス」

 経営不振に陥った企業が「変革」に取り組み、見事「復活」する――。 この復活劇の多くには、必ず素晴らしい立役者、リーダーが登場する。そして、破綻の淵からいかにして蘇ったのかを描いたビジネス書も多く存在する。まず日産自動車を見事に復活させたカルロス・ゴーン氏による本書(ダイヤモンド社)である。1998年度の自動車事業での実質有利子負債残高は、2兆1000億円だったという。 そんな状況にあった日産にゴーン氏はCOO(最高執行責任者)として就任する。

 ゴーン氏は、「会社を立て直す秘訣は何か」という質問に対して、本書で次のように答えている 。「私は実地経験を積み上げてマネジメントのさまざまな基礎を学んだ。それだけのことである」。この言葉の通り、ゴーン氏が大学を出てミシュランに入社して以降、日々の仕事で何を考え、何を学んだのか、そしてその学んだことをいかにして仕事に活用していったのかが、具体的に綴られている。

 ミシュランでの新入社員時代、赴任した工場では、管理職はほとんど現場に姿を見せなかったので、彼らは生産現場の実態をあまり知らなかった。従業員は、自分の仕事の目的もわからず、ただ目の前の仕事を単にこなすだけだった。このことを目の当たりにしたゴーン氏は、「絶えず現場を訪れて、従業員の声を聞く」ことを自らの習慣にした、と語っている。

 実際、日産の再建にあたり、ゴーン氏は様々な部署を訪れ、多数の社員と話し合った。そして日産の根本的な問題が「経営陣が方向を見失っていた」ことにあると理解した、と振り返っている。このように、ゴーン氏はミシュランなどで働いた中で学んだことを日産の再建過程で一つ一つ実行していったのだ。

 本書をお薦めするのは、すべての組織人(新入社員から経営者、さらには海外駐在員まで)が、それぞれの立場で学ぶべきことがある、と思うからだ。上記のゴーン氏の新入社員時代の行動は、今の若手ビジネスパーソンに、日々の仕事にいかなる姿勢で取り組めばよいのか、多くの気づきを与えてくれるだろう。また、経営者・管理職の立場の人にとって、変革の過程でゴーン氏が何を行ったのかを知ることは価値あることだろう。

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