BizGateリポート/人材

「官僚の劣化」が教える3つの人事教訓

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

長期不況の中で威信低下していった官僚

 「今日につながる官僚バッシングもこの時期に生まれました。まず長期不況の中、経済成長や社会の安定などの政策面で官僚が成果をあげられなくなったことがあります。特に各分野での規制緩和に反対する官僚が、逆に経済成長を阻害しているとみられたのです」

 「さらに大きな影響を与えたのはポピュリズムだと考えられます。長期不況に加えて反エリートを基調とするポピュリズムが吹き荒れたことで、既得権益者の代表格として激しい官僚バッシングが起きました」

 ――「政」と「官」のパワーバランスの変化も影響していますね。

 「この20年間、行政改革と政治主導の流れが続いています。自分の経験でもバブル崩壊後は役所の雰囲気が暗く、行革関連の仕事の比重が増えました。14年の内閣人事局の発足は政治主導の一つの帰結です。それ自体として悪いことではありません。省益にこだわらない官僚を作り出すという点では必要な組織だからです」

 「ただ、この組織を作る時の大前提は二大政党制による政権交代が起こりうることでした。特定の権力が長きにわたって人事を握れば歪みが生じるのは当たり前です。そのため、政官のパワーバランスは明らかに変化しており、プロフェッショナルとしての官僚の公正中立性が保てなくなっています」

 「しかも、仕事量は全く変わっていません。政治が主導する結果、官僚の役割分担が減り、労働時間が減少するかというと、そうでもありません。以前から予算編成時の官僚の徹夜仕事は知られています。さらに国会開会中は、作成から予算待機、内閣法制局からの宿題など朝から切れ目なく働かされます」

 「政官のパワーバランスが変化しているのに労働が増えていることを考えると、モチベーションが低下したまま働いている官僚が増加しているのではないかと推測されます」

 ――新著ではそうした官僚のパワー低下にについて指摘しています。

 「エリートとしての官僚の強さは何よりも各省、各期入省組を中心とした集団性にあるとみています。同じ理念、目的意識、利益共有で結びついていれば政治の強引な介入にも抵抗できます。しかし誰が幹部ポストに就くかが官邸の決定次第となれば、集団としての力は発揮できません」

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。