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「官僚の劣化」が教える3つの人事教訓

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 忖度(そんたく)、改ざん、データ不備、セクハラ……。霞が関のキャリア官僚へ厳しい視線が向けられている。厚生労働省による裁量労働制の調査ミスや文部科学省の逸脱した天下りあっせんなどが批判の対象だ。とりわけ森友学園問題に関する決裁文書改ざんなどでパワーエリートの代名詞だった財務省の権威失墜が止まらない。官僚研究の第一人者とされる神戸学院大の中野雅至教授は新著「没落するキャリア官僚」(明石書店)で、エリート官僚がどのようにして変質していったのかを詳細に分析した。知的能力に恵まれた優秀な人材たちはなぜ劣化していったのか。中野教授が指摘する人事の3教訓は、グローバル化を進める企業にとっても人事政策の面でヒントになりそうだ。(写真は東京・霞が関の官庁街)

「霞が関文学」に似合わない杜撰な改ざん

 ――エリート官僚の不祥事が続いています。どう見ますか。

 「1990年に労働省(現在の厚労省)に入省した自分の経験からすると、財務省の文書改ざん問題は杜撰(ずさん)極まりないとしか言えません。霞が関の官僚は良くも悪くも文章にこだわります。細かな表現で政策形成過程を上手に泳ぐことが求められます」

 「『等』を駆使することで特定のものに限定しないとしたり、『努めることとする』の表現で義務付けしない手法は霞が関文学と皮肉られます。しかし今回は入省直後から細かなテクニックを徹底的にたたき込まれる財務省らしくない粗っぽさでした」

 「財務次官の辞任は個人的な要素が含まれている問題だとは思いますが、公開された音声データはあまりにもハレンチなものでした。子供にも言えないような言葉遣いだった気がします。その後の組織的対応も後手に回りました。ここには2つの汚点がありました。1つは財務省がセクハラ問題を軽く見ていたということです。もう1つは逃げ切れるという甘い考え方をもっていて、国民の一般常識との乖離(かいり)があったことです」

 ――日本経済を実質的に設計・けん引してきたキャリア官僚の劣化が指摘されています。

 「短期的な現象では無く、官僚の構造的な威信低下は90年代から始まりました。その発端としては数々の不祥事があげられます。バブル経済崩壊後、中央官庁では旧大蔵省(現財務省)の過剰接待事件、旧厚生省の岡光事件などが続発しました」

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