AG/SUM キーパーソンに聞く

初の産業界出身理事長「農業を強い産業に育成」 農研機構 久間和生氏

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産学官・グローバル連携を強化へ

――今、農業において特に注目しているテクノロジー分野は?

 総合科学技術・イノベーション会議が策定した第5期科学技術基本計画と統合イノベーション戦略に沿って重点的に進める研究開発課題としては、ジーンバンク(遺伝資源)、病害虫防除技術、土壌改良技術などの「農業基盤技術」と、AI、データ連携基盤、ロボットなどの「先端基盤技術」があります。農研機構には、これらの基盤を構築するデータの蓄積がありますが、これまでなかなか使い切れていなかった面があります。

 今後「Society5.0」の実現に向けて活用していけば、続々と大きな成果を生んでいくと考えています。そのために、今あるデータを維持し続けることと新たなデータを蓄積することが大事で、それができるのが農研機構であり、常に責任を持ってデータをバージョンアップしていくのもわれわれの役目だと思っています。

――今後、農研機構をどのような組織にしていきますか。

 今、約3300人の常勤職員のうち研究職員は1800人を超えており、その75%が博士です。そのポテンシャル(潜在力)は相当なもので、実際に数多くの成果を出しています。例えば、りんごの「ふじ」、梨の「幸水」、皮ごと食べられる種なしブドウの「シャインマスカット」、お茶の「べにふうき」、温暖化対応イネ「にこまる」、飼料イネ「モミロマン」などの開発はその一例です。鳥インフルエンザの迅速検査法や、有人トラクターで監視しつつ、1人で2台目の無人トラクターも操作できるマルチロボットトラクターの開発なども農研機構の実績です。

 現在も、茨城県つくば市の本部を中心に全国57の拠点でさまざまな独創的な研究を行っていますが、私がここへ来て感じたのは、それがほとんど世の中に知られていないということです。今後は広報活動を強化し、研究の課題や成果、多くの優秀な研究者たちを広く紹介していこうと思っています。

 独自の技術やアイデアを守るほか、食品の安全規格などを標準化する「知的財産権と国際標準化」の活動も強化しなければなりません。スマートフードチェーンのようなシステムは多くの機械が連動するため、インターフェースの標準化も急がなければならない。こうした知財と標準化、さらには産学官連携やグローバル連携を徹底的に強化するために、新たに産業界から2人の理事も登用しました。

 これからの農研機構は、農業界をサポートするだけでなく、農業をより強い産業として育成し、“産業としての自立”をけん引していく組織でなければならないと考えています。

(木村貴)

■国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構について

 2001年4月、12の農業系国立試験場が統合して発足。2016年4月、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所および種苗管理センターと統合して現在に至る。

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、M&A、AI、IoT、ICT

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