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「角さんのダミ声」は認知心理学的に正しい

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本質的には金属的な澄んだ声の持ち主

 ――田中角栄元首相(1918~93)による、独特のダミ声での演説は今も語り継がれています。

 「田中氏が選挙での辻説法で多くの有権者を引き付けたり『1対1で会ったら必ず取り込まれる』と言われていたエピソードは、音声の認知心理学上では正しいのです(笑)」

 「田中氏の身長は165センチメートルくらいでしょうか。顔は大きくツルッとした卵形です。本質的には金属的な澄んだ声の持ち主のはずです。戦略的に、雑音の混じった浪花節を思わせる声が重要であることを知っていたのでしょう」

 ――田中氏の伝記などには幼い頃に吃(きつ)音の癖があり、克服するために浪花節を練習したというエピソードが出てきます。

 「田中氏の政治人生に大いに影響があったと思います。政治家として、畑や田んぼで働く人々の中にどんどん入っていき話した経験から、澄んだ声での歌謡曲より演歌、浪花節の方が、有権者の心に言葉が届くことを実感したと思います」

 ――田中氏は郵政大臣(当時)時代にNHKの番組に出演し講談の「天保水滸伝」を披露したといいます。

 「現在に残る映像で見ていても、まず日本人の心をぐっとつかむ雑音を含んだダミ声で『いやあ、どうもどうも』と聴衆を引き付け、和やかな雰囲気を作ってから沸かせる演説はたいしたものです」

 ――では「ダミ声」が現在の日本で有効なのでしょうか。

 「残念ながら違います(笑)。1970年代後半あたりまでで、西洋の澄んだ音に日本人の耳が慣れてきました。音声・映像メディアが全国に浸透しきったからです。今の若者は住んだ声やハーモニーを好みます。そういった『西洋耳』に支持された最初の政治家が、小泉純一郎元首相でしょう。小泉氏はどちらかと言えば細い中性的な声です」

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