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「角さんのダミ声」は認知心理学的に正しい

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 「自分の声」は本人自身ではなかなか分からないものだ。しかも8割の人々が「自分の声が嫌いだ」という調査結果もある。どうすれば魅力的な声音でビジネスシーンに臨めるのだろうか。認知心理学をベースに音響心理学や脳科学の最新研究も加え、人間の心身への音声の影響を研究している「声のサイエンス」(NHK出版新書)の著者、山崎広子さんに聞いた。

「雑音」に美学を感じた日本人

 ――自分の声を聞いて、がっかりした経験を持つ人は少なくないようです。

 「私が16歳から75歳までの男女1000人を対象にした調査では『自分の声が嫌い』が約80%、『好き』が5%、『分からない』が15%でした」

 「指紋と同じように1人として同じ声はありません。声の特徴は大まかにいえば『地声の高低』『強弱』『音色』で決まります。話しているときの表情筋は声に大きな影響を与えます。目を閉じたり、眉をひそめるだけで『ピッチ』(微少な音程)は変わります。口の開き方や肩や首などの筋肉の動かし方でも音質や音色は変化します」

 ――「魅力ある声」というのはどういう声なのでしょうか。

 「地域や民族によって声の美意識は変化します。日本では伝統的に『雑音』が好まれてきました。虫の鳴く声など自然の音が入り込む環境で、雑音に価値を見出したのです。三味線の『サワリ』のように、弦が触れるたびにわざわざノイズ、雑音を出すように工夫した和楽器はいくつもあります」

 「ちなみに石造りで天井の高い建築物が多いヨーロッパでは、人々の声は低く深くなります。西洋の建物では音がよく響くので、澄んだ音での合唱が生まれました。土造りの家でコーランの詠唱を聞く中東地域では、情熱的に声を張り上げる甲高い声が主流になりました」

 ――日本で人々の耳目を集めるには声を一段と張り上げるか雑音を際立たせるしかないのですね。

 「雑音をほどよく混ぜ、独特のリズムのある声が説得力を持ったのです。浪曲師はその代表格でしょう。辻弁士やバナナのたたき売り、がまの油売りなども日本人の耳に快く響いたと思います」

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