AG/SUM キーパーソンに聞く

農業フランチャイズで日本のトップ目指す seak 栗田紘氏

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 こうした新しい農業ビジネスモデルに参加する仲間づくりが現在の課題です。仲間はLEAPの本部側とフランチャイズ側の両方に必要です。現在、本部側は18人いますが、もっと農業を科学的に捉えられる人がほしい。

 またフランチャイズ側のユーザーには若い人がほしい。今、藤沢市の農場で農業高校を卒業したばかりの女性就農者が頑張っています。LEAPはスマートフォンでデータの受け渡しをするのですが、若い人たちはITとの相性が良いので非常に効率的にうまくやってくれています。

 また、農業高校での学習・実習が、手先の器用さ・植物の健康状態への敏感な反応・そもそもの基礎体力など、フランチャイズのメンバーとして重要な素養を持ちあわせており、高校卒業直後とは思えないほど、普通に目標経営指標を達成してくれています。その活躍に、素直に感銘を受けています。

 今後2~3年の間にフランチャイズのユーザー数で2000~3000、出荷額で年間100億円を達成するのが目先の目標です。国内農業が直面している厳しい環境は様々なところで指摘されていますが、一方でいろいろな人が農業を変えようする動きも出てきています。変わる可能性は確実に高まっています。楽観的かもしれませんが、こうした雰囲気は大切です。それを追い風にして、将来は新しい農業ビジネスモデルでトップを目指します。

「仲間づくり」をアピールしたい

――自分で農産物を作るビジネスではなく、新規の農業就業者を支援するインフラを手がけるというビジネスの視点はどこから出てきたのでしょうか。

 自分の中に2つのポイントがありました。12年に大手広告代理店を退社した後、「0(ゼロ)から1(イチ)を作りたい」との気持ちが強くなりました。広告マン時代に「君はアントレプレナーシップがある」と言われたことがあるのですが、人が作った土俵で動くよりも、自分で何かを始めたいという起業家精神が高まっていたように思います。

 もう1つは、電動車いすを手がけるスタートアップ企業に携わる経験から科学的にビジネスに切り込んでいけると感じたことです。東京工業大学を卒業後、広告代理店に入社したので、農業に関わる経験は全くなかったのですが、「農業をテーマに科学的にアプローチできる」と思いついたのです。そして14年4月にseakを創業しました。seakとはサイエンス、エンジニアリング、アグリカルチャー、ナレッジの略です。農業にはいろいろな複雑な要素が絡んでいますが、社会学的なものではありません。農業生産とは化学反応であり、数学の因数分解のように科学的なアプローチで分解し解釈できるはずです。

 とはいえ、実際の農業ビジネスは苦しいことの連続でした。15年に藤沢市でトマトのビニールハウス栽培を始めましたが、栽培のための資金づくりから農作業、販売先まで全く手探りの状態でした。ただ、こうした大変さを経験することで、農業の仕組み作り自体をビジネスにしようと考えるのにつながりました。このビジネスモデルで17年春に資金調達に成功し、最近は農業のフランチャイズ事業についての解像度が上がり、言語化できるようになってきました。創業当初は不明瞭でフワフワした事業内容にくっきりと焦点が合致するようになったわけです。苦しいことの連続でしたが、これはとてもうれしいことでした。

――アグサムに何を期待していますか。

 2つあります。1つは先に述べた「仲間作り」、もう1つはLEAPに欠かせない資金調達ツールを具体的に構築していくことです。

 LEAP本部に必要な農学部系の大学院生などに「実際の農業現場で研究してきた知識を実践できる」ことをアピールしたい。大学の研究室で学ぶことと、現実の農業の現場を肌で感じることの両方を経験することは、実はなかなかありません。LEAPを通して、現場に立ちながらナレッジワークができる魅力をアピールしたい。フランチャイズ側にはユーザーになってくれる農業高校生にアプローチしたいと思っています。

 新規就農したいと思うユーザーに資金を調達できる仕組みをもっと拡充していく必要も痛感しています。地方銀行や信用金庫などの地域金融機関に対し、seakが描く農業ビジネスのビジョンと実績を発信し、事業評価をしてほしいと願っています。

(松藤 政司)

キーワード:経営・企画、経営層、管理職、経営、営業、技術、製造、プレーヤー、イノベーション、M&A、AI、IoT、ICT

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