長島聡の「和ノベーションで行こう!」

布地の超小型車で地方の移動にイノベーションを 第16回 伊藤慎介リモノ代表取締役社長に聞く

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伊藤 リモノはクルマの形をしていますが、個人的にはバッテリーとモーターで動く電気自動車が今のガソリン車のようなクルマの形である必要は全くないと思っています。理想的にはセグウェイのようなロボット型であるべきだと思いますが、残念ながら日本ではそういう車両は公道走行ができる車両としては認められていません。車両の開発に必要となるあらゆる技術があるにもかかわらず、非常にもったいない話です。

 リモノを展示会に持っていくと、あっという間にお子さんが集まってきます。一般の新車発表会ではクルマを触ることはご法度ですが、弊社ではむしろ積極的に触っていただいています。最近は「若者のクルマ離れ」と言われていますが、むしろ若い人たちの感性に合うパーソナルモビリティーや小型モビリティーが提供できないことが問題であり、クルマの方が若者から遠ざかってしまっていると感じます。どの世代であっても自分で自由に移動できるモビリティーがあるほうが楽しいと思うはずで、そういうことがもっと自由にできるようになれば必ず新しいマーケットが生まれるはずです。

長島 車を欲しいと思う人も増やしていかないとダメですね。利用一辺倒になっては産業としていけないと思います。例えばリモノでは、原価を半分にすることはできませんか。

伊藤 その実現のためには海外で生産することが考えられますが、実現しようとすると大量生産が必要になりますし、だれでも扱いやすい部品を使うことが必要だと思います。自動車部品が自転車のようにオープンな仕組みであることが必要です。自転車の場合は複数あるギアとブレーキのラインアップから自分の作りたい自転車にマッチする部品を選びさえすれば、好きなフレームやペダルなどを作ったり選んだりすることで様々なバリエーションの自転車を作ることができます。なぜ小型EVやパーソナルEVではそういうことができないのかと思います。

 また、こうした小さいモビリティーのグローバル展開を考えるときにややこしいのが規制の問題です。ヨーロッパにはヨーロッパ独自の制度があり、アジアはトゥクトゥクに代表されるような三輪車両もありますので、リモノを今のデザインや仕様のままで海外に展開するのは難しいと思います。海外市場を狙うなら、そのマーケットをある程度想定した上で、最適化したモデルを開発しなければならないでしょう。

 ただ心配なのは、小型モビリティーについては中国のほうが圧倒的に需要が大きく、市場が成長していることです。日本企業が何もやらないと、先にオープンな仕組みをつくられてしまうと思います。

長島 低速の小型車を自動運転と組み合わせれば、街に溶け込んで歩道とか車道とか区別せずに身近な道具みたいになるのではないでしょうか。

伊藤 そういうことができる「天領地」をつくったらどうかと色々な場所で言っています、国直轄のエリアで社会イノベーションを実験的にやってみるというアイデアです。官僚や大手企業の人材、地元の人が集まってミックスで実験場所をつくって次々とトライすれば、国内の他の街に広がっていくでしょうし、海外にも展開していけると思います。

長島 今ある技術で走ることができる一般道をまず設定して、技術革新に応じて少しずつ走れる道路が増やしていけばいいのかと思います。一方で、地方では電機店やガスサービス業がなくなりつつあり過疎化が加速していて、自動運転による地域の移動手段の代替が間に合うんだろうか、とも感じています。

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