長島聡の「和ノベーションで行こう!」

布地の超小型車で地方の移動にイノベーションを 第16回 伊藤慎介リモノ代表取締役社長に聞く

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「第3の皮膚」としての超小型車

長島 超小型モビリティーはヤマハなど、大手も何種類か出しています。違いはどこでしょう。

伊藤 リモノというクルマは最高速として時速30~40キロメートル程度を想定しているので、いわゆる原付きスクーターの延長線上ぐらいの乗り物だと考えていただくとわかりやすいです。歩行者や自転車などと道路空間を共存できるようにするために、あえてコンパクトかつ遅めにするというのが大手メーカーとの違いです。こういうクルマだからこそ中小、ベンチャーでも挑戦できると考えています。

 それ以外には、「家電のようなクルマ」ということも意識しています。電気自動車は騒音も排ガスも出さないので家の中や軒下など生活に近いところにクルマが入り込むことができます。

 私の知り合いにクルマは第3の皮膚だ、と主張している人がいます。自分の皮膚が第1の皮膚で、それを覆う洋服が第2の皮膚であり、クルマや住宅が第3の皮膚というわけです。そういう感覚でとらえると、電気自動車になることでクルマはもっと人間と近い存在になれるというのがリモノの主張でして、だからこそ外装である布の着せ替えを提案しています。リモノというクルマが生活に入り込むことでワクワク楽しいライフスタイルが味わえるというコンセプトを目指しています。

長島 このクルマの値段は100万円を目指しているようですね。けっこう値段が高いイメージですが、軽自動車が競合になってしまうのではありませんか。

伊藤 リモノを開発した時にイメージしていた購買層は小さなお子さんのいるママさんだったのですが、プロトタイプを発表してみると実際の問い合わせが多いのは年配の方々です。男性は70代後半以上、女性は50~60代の方が多いです。いただいたメールや手紙を拝見していると、女性の場合は運転の経験が少ない人が多く、両親や義理のご両親の介護が必要になったことが原因でクルマで送迎する必要が発生し、毎回ご主人などに運転を頼みづらいことから自分で運転できそうなリモノが欲しいというのが主なご要望です。そのため、2人乗り車両であることがポイントになります。

長島 もう1つ違う切り口で見ると、地方で消滅するサービス業などの役割を代替できそうですね。買い物や図書館、宅配、散髪といった各種サービスを、このクルマで橋渡ししたり、サービスを届ける人が移動したりということもできそうです。

伊藤 実は高齢者や年配者だけでなく、若い人も問題を抱えています。福井県の交通担当者からは部活に通っている高校生が移動の問題を抱えているという話を伺いました。鉄道の駅まで路線バスで通っている高校生の場合、通学時は問題ないのですが、路線バスが午後6時ごろに終わってしまうことから、部活が終わって駅まで到着すると既にバスが無くなっているそうです。そのため、遠くから通う高校生は部活を諦めるか、実家から離れて寮に入るか、という選択を迫られ。結果的に寮に入ってしまうと地元集落の高齢化がさらに進むという悪循環に入ってしまいます。

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