長島聡の「和ノベーションで行こう!」

布地の超小型車で地方の移動にイノベーションを 第16回 伊藤慎介リモノ代表取締役社長に聞く

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 日本型のイノベーション=「和ノベーション」を実現していくには何が必要か。ドイツ系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの長島聡社長が、圧倒的な熱量を持って未来に挑む担い手たちを紹介していくシリーズ。第16回は小型電気自動車(EV)の開発に取り組むベンチャー、リモノの伊藤慎介社長です。

中小企業でも本気を出せば変革を起こせる

長島 私の仕事が車に関係することもあって、リモノの超小型電動自動車に興味を持っています。まず、伊藤社長が経済産業省を辞めて起業した経緯をお聞かせください。

伊藤 経産省を飛び出すきっかけを探していました。経産省では、次世代バッテリーの研究開発や電気自動車の推進、日本版スマートグリッド(次世代送電網)といった様々なプロジェクトを立ち上げてきました。でも、国家プロジェクトをいくらやってもイノベーションが起きないという限界を感じ、 自分自身がプレーヤー側に踏み出していかないと、理想通りのイノベーションを起こせないと思いました。国家プロジェクトでは、公募という形をとることでモチベーションが平準化されてしまいますし、どことは言えませんが中には予算消化的に取り組んでいる企業もありました。

 そうした時、テレビ番組でデザイナーの根津(リモノのデザイナー)がカッコいい電動バイクを中小企業と一緒に作ったという特集を見たのです。そのバイクを中東の展示会に持っていったら1台買いたいといった人が現れたという話でした。これまではイノベーションは大企業でないと起こせないと思っていましたが、本気のメンバーが集まれば中小企業でも可能性があるのだと分かったのです。

 一方で、国土交通省が「超小型モビリティ認定制度」という実証制度を2013年から始めていました。地方で公共交通機関が縮退し、移動手段がどんどんなくなっていく中で、小さくて簡便な乗り物であれば危険性も小さく移動ニーズも満たせるはず、という考えのもとで作られた制度でした。そういう新しい制度ができるのであればベンチャー企業にもチャンスがあるのではないかと思い、小さくてかわいく楽しく近場(ちかば)をグルグル回れるクルマをつくろうとデザイナーの根津に働きかけて起業することにしました。そして、曲折の末、2016年5月に最初のプロトタイプを発表することができました。

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