AG/SUM キーパーソンに聞く

生産から流通までパッケージにした「植物工場」で農業ビジネス参入 オーガニックソイル・渡邉誠一氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日本経済新聞社によるアグリテック(農業とテクノロジーの融合)をテーマに開催するイベント「AG/SUM(アグサム)アグリテック・サミット」に関連し、参加企業・団体のキーパーソンに注目テーマや最新動向などを聞いた。高糖度フルーツトマト「オスミックトマト」を手がけるオーガニックソイル(東京・中央)副社長の渡邉誠一氏は、生産から流通までをパッケージにした農産物ハウス栽培システムを全国に拡大していくことで、経験と勘に頼らないデータ重視の農業ビジネスを日本に根付かせると語る。

高糖度のフルーツトマトを独自ノウハウで生産

――最近、スーパーで見かけるようになった「オスミックトマト」の特徴は。

 オスミックトマトは1粒1粒を糖度で選別した高糖度フルーツトマトです。糖度別に3スター(平均糖度8)、4スター(平均糖度9)、5スター(平均糖度10)、プレミアム(最高級品)の4種類に分けています。従来の糖度が5~6なので、それらに比べて酸味が少なく甘いのが特徴です。価格は3スターで1パック(120グラム)約300円、4スターが同350円、5スターで同500円程度とミニトマトの中では高価格ですが、特に3スターは店頭ですぐに売り切れになるほどの人気です。

 甘さの秘密は、高密度微生物で作り上げた、作物をおいしくする土「オスミックソイル」です。この土は腐葉土やカニ殻、カキ殻などに存在する高密度微生物群の発酵作用により、多様な栄養素を含んでいます。特に農産物の甘さを左右する4種のアミノ酸をどう作物に取り入れるかについて研究を進めてきました。ミニトマトを甘くするには水を与えない「水切り」栽培が知られていますが、この栽培方法では作物のみずみずしさや歯ざわりの良さが失われます。オスミックトマトは水切り栽培ではなく、土と肥料、日照・温度管理などに工夫を凝らした独自の栽培手法により、甘くておいしいトマトを安定的に生産できるようにしました。

 生産環境を徹底的に管理するオスミックトマトは1粒ごとの糖度による選果が可能です。全生産量の中で3スターは4割、4スターは3割、5スターは2割、最も糖度が高いプレミアムは1割と設定し、年間を通して甘いトマトを供給できるシステムを確立しました。

――オスミックトマトはどうやって誕生したのでしょうか。

 10年ほど前に有機肥料の研究開発を始めたのが始まりです。島根大学と高密度微生物群による有機肥料研究を進め、8年前に千葉県八街市でトマトとイチゴの試験栽培を開始しました。トマトは夏が苦手です。気温が32度以上になると花芽分化が起こらなくなり成長しません。そこで夏でも30度以上にならないよう温度を管理できる「オスミックハウス」を6~7年かけて開発しました。このオスミックハウスでは各種センサーで生育環境を計測し、温度だけでなく光合成の状態を左右する日射量、炭酸ガス、水分などを高度に管理制御できます。さらにトマトは根本に近い方の実が甘くなる特徴があります。そこでトマトの低いところ(段)に実を多く付けさせる低段密植や隔離床などの栽培方法「オスミック栽培」も開発しました。

 オスミックソイルとオスミックハウス、オスミック栽培により、高糖度フルーツトマトのビジネス化のメドが立ったことから、2015年5月にオーガニックソイルを創業。昨年4月に第1棟目のオスミックハウス(栽培面積2160平方メートル)を稼働させ、年間35トンのオスミックトマトを生産しました。販売面ではイオングループと提携し、北関東と南関東のスーパーで販売しています。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。