東大卒棋士のAI勝負脳

藤井聡太の活躍を支える「マッチング」 将棋棋士6段・片上大輔

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 藤井聡太7段が2年連続で竜王戦本戦入りを決めた。藤井は相変わらず勝ち続けているし、相変わらず2手目は飛車先の歩しか突かない。しかし序盤を固定して一極集中の研究で勝てるのなら、棋士は皆がそのスタイルをマネするだろう。

 グローバル化した経済の世界から見れば狭い将棋界だが、プロ棋士同士の勝負で取るべき作戦は人により、さらに時代により変わってくる。つまり戦略がその人に向いていて、かつその時代にも合っていることこそが重要だ。これが「マッチング(一致)」の問題であり、人工知能(AI)時代の情報戦略に欠かせない考え方だと私は思っている。

■好きな戦法と得意な戦法は微妙に違う

 棋士には誰しも好きな戦法や得意とする戦法があるものだ。この「好き」と「得意」がマッチングしていることがポイントになる。同じではないか、とすぐに思わないで欲しい。この二つは似ているようで違う。 自分が好きな戦法で日頃から最新の定跡手順をチェックしていても、公式戦で実際に指してみると、あまり向いていないというケースは実は結構多い。対局前の知識や研究が最終的な勝利に結びつかないことが続いた場合、自分とその戦型の相性を疑ってみるべきである。

 一般的にこのような場合に取るべき方針は、あまり好きではない戦法でも、とにかく指してみることだと思う。実は単なる食わず嫌いだったというケースも多いし、そもそも好きかどうか挑戦してみないことには分からない面もある。新鮮な気持ちで新たな戦法に向き合ってみたら、案外自分に合っていて結果はおのずとついてきた、という経験は私にも何度もあった。

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