YESの9割はフロントトークで決まる!

商品知識豊富でも売れない人の理由 営業コンサルタント 和田裕美氏

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■「これだけは伝えたいこと」をピックアップする

 しかし、今いったことのすべてを説明したら、何時間かかるかわかりません。話の長い営業はお客様に嫌われますので、絶対にNGです。知識を持っている必要があるのは、どんな質問が来ても即答するためです。それが信用につながります。決して、「すべてを説明するためではない」ことを覚えておいてください。

 では、営業の現場でこの商品知識をどう使うかですが、“これだけは伝えておきたいことをピックアップしておく”だけです。私は外資系教育会社で英会話スクールと語学教材を売る営業をしていましたが、新人の頃から、地道にこんなことをやっていました。

・自社のスクールに通う

・インストラクターと交流し、彼らの素質を確認

・実際に教材を聞いて、面白い箇所をピックアップ

・他の英会話学校に行き、どんなパンフレットを使っているのか、どんな説明をするのか、さらに金額などもリサーチ

 お客様に説明するときや、何かを質問されたときに、「そのインストラクターは最近ヨガを始めたみたいなので、話が合いそうですね」「私は他のスクールにも通ったことがあるのですが、やっぱりここ(自社)がいいなと思う理由があって……」「あ、そのスクール(競合)もいいですよね。できたばかりで校舎もきれいです。ただ、ちょっとお値段が高いかなと思っていて……」

 など、自分で調べた情報ならよりリアルで臨場感のある説明ができたのです。

 欲しくもないものをいきなり勧められたら、うっとうしいだけですよね。それなのに、「これいいですよ」と自分の商品やサービスの自慢ばかりしてしまうから、「いいものだとはわかりました。でも、私には必要ありません」と結果的に断られてしまう。当たり前の話です。営業は、モノを売るという前に、「なぜ、その商品がこの世に生まれたのか?」を考えないといけないのです。

 その原点となるフレーズがこれです。すべての商品は問題解決のために生まれた。シェアリングカーは、毎日車に乗らないのに、所有するだけで駐車場も保険も必要となるのでもったいない。しかし、タクシーでは高いしなあ……という悩みを解決するために生まれました。

 自宅で買い物をして、明日には届くというアマゾンのプライム会員も、「今すぐ必要!」というニーズに応えたから誕生したものでした。

 世の中にさまざまな商品やサービスが出回っていて、もう解決すべき「問題」などなさそうです。しかし、人間の欲はつきないので、たとえば「洗濯」であれば、全自動洗濯機を超えて、全自動衣類折りたたみ機まで生まれています。これも「洗濯では、たたむという工程がもっとも面倒」という悩みから生まれたのです。

 あなたが売っている商品は、どんな悩みを解決してくれるのか。どんな「問題解決」のために生まれたのか。どんどん掘り下げてみてください。必ずそれを求める人がいるのです。または、お客様本人は気づいていない、潜在的な要求(ニーズ)に気づかせてあげるにはどうしたらいいか? などを考えてみるのです。

 この原点をしっかり認識しておくことで、必ず「出会えてよかった。ありがとう」といってくださるお客様に会うことができます。

和田 裕美著『YESの9割はフロントトークで決まる!』(日本経済新聞出版社)「第1章 誰に売るか~お客様の心を知る」から
和田 裕美(わだ・ひろみ)
株式会社HIROWA代表取締役。営業コンサルタント。京都光華女子大学キャリア形成学科客員教授。京都府出身。外資系教育会社でのフルコミッション営業で、プレゼンしたお客様の98%から契約を獲得、世界142カ国中第2位の成績を収める。20代にして、女性初、最年少で支社長に。独立後、営業コンサルタントとして、国内外で研修や講演を展開する。『世界No. 2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』(ダイヤモンド社)、『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)、『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、「和田裕美の営業手帳」(ダイヤモンド社)など著書多数。

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