日本企業の競争力を奪った統治改革の失敗 経営はだれのものか

日本企業の迷走 ―― 三つの兆候 加護野 忠男 氏

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 日本企業とりわけ国際市場で競争するメーカーに元気がない。売り上げが増えず、利益も出なくなっている。海外での競争にも勝てなくなっている。自動車産業はまだ健闘しているが、電機・電子産業の標準部品メーカーや最終製品メーカーはとくにさえない。1980年代には、強すぎるのがグローバル経済の問題だといわれた日本企業がなぜこうなってしまったのか。

 うちを見ると、従業員の企業との一体感も薄れつつある。非正規従業員が増え、モノづくりの現場は荒廃しつつある。職場ではボーナスの話題はタブーだという。ボーナスと無縁の非正規社員がいるからだ。

 なぜこうなってしまったのか。こうした現象を単一の原因に求めることには無理がある。多様な要因によってもたらされた複合的結果だと考えるべきだろう。金融政策の失敗がもたらしたデフレや円高によるところも大きい。しかし、少なくとも本質的な理由の一つだと考えることができるのは、企業統治制度・慣行の変革の失敗である。

 この連載では、どのような改革が行なわれたのか、なぜそれらが企業の活力を奪ってしまったのかを考えることにしよう。

 日本企業の迷走の兆候は大きく三つに分けることができる。第一は、戦略転換能力を失いつつあること。第二は、投資をせずに、内部留保の積み増しを重視し始めたこと。第三は、労務政策が劣化し、職場が荒廃しつつあること。その結果、従業員の企業への一体感という日本企業の固有の強みが生かせなくなってしまったのである。

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