技術を武器にする経営 日本企業に必要なMOTとは何か

コンセプト創造からすべてが始まる 伊丹 敬之、宮永 博史

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 二つめは、利用者による発見的進化だ。ときに製品は、想定外の利用者が想定外の利用をすることによって進化を遂げる。たとえば、ポケベルだ。1968年にサービスを開始したポケベルは、外出中のビジネスパーソン、医師、警察官、消防士などへの緊急連絡用として開発された。ところが、である。1990年代半ばに、女子高生という想定外のユーザーが出現した。ポケベルで送れるのは数字という制約をものともせず、数字の並びに語呂合わせをして、ポケベルでメッセージを送る手段として使い始めたのである。メル友ならぬベル友だ。授業と授業の間の休み時間に、女子高生たちが公衆電話に殺到した。ポケベルは受信専用だったので、メッセージを送るには公衆電話を使う必要があったからだ。こうした利用者発見型が進化して、やがてiモードへとつながっていく。

 三つめは、製品とサービスの融合による進化だ。ふつう、メーカーは製品、サービス事業者はサービスと、コンセプトの対象を限定してしまいがちだ。本来、顧客の立場からいえば、製品だけ、サービスだけ、ということはありえない。両者を融合させることが、コンセプトを進化させる。

 資源の採掘現場では、コマツが開発したICTを駆使して実現された無人ダンプトラックが引っ張りだことなっている。オーストラリアの鉱山では、750人もの運転手が不要となり、年間で75億円ものコスト削減につながった。事故も減っている。コマツは無人ダンプトラックのほかにもコムトラックスなどサービスと建機を融合させることによって、コンセプトを進化させ続けている。宅急便というサービスも、クール宅急便専用の配達車、決済端末、荷物追跡システム、物流センターなど、モノのコンセプトに支えられている。製品とサービスとを別物として扱わず、両者を融合させることでコンセプトは進化していく。

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