技術を武器にする経営 日本企業に必要なMOTとは何か

コンセプト創造からすべてが始まる 伊丹 敬之、宮永 博史

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いいコンセプトが持つべき三つの条件

 コンセプトを創造するといっても、奇をてらっただけのものや、実現性に乏しいものでは意味がない。かといって、簡単に実現できるものでは、すぐに模倣されてしまう。では、一体どのようなコンセプトを創ればよいのだろうか。

 いいコンセプトが持つべき条件は、次の三つである。

1.聞いて驚き、使って驚くという伝染効果があること
2.驚くだけの技術と仕組みの裏打ちがあること
3.許容範囲内の価格設定であること

 いいコンセプトは、わかりやすい言葉で表現される。たとえば、ヤマト運輸が1976年に始めた宅急便のコンセプトは実にわかりやすい。サービス開始当初に配布されたチラシには、次のように書かれていた。

 「電話ひとつで、翌日、確実にお届けします」

 そして、手書きのイラストまで描かれている。「モシモシ、荷物をお願いしたいんですが」と主婦が電話をしている。電話の向こうでは、宅急便のシンボルマークであるクロネコが、「ハイ、すぐお伺いします。1口1個10キログラムまで500円です」と答えている。まことにわかりやすい。

 今では当たり前になってしまったが、また、それがイノベーションの特徴でもあるが、宅急便のコンセプトはまさに「聞いて驚く」内容であった。それまで、家庭の主婦が荷物を送ろうとすると、郵便局か国鉄(現在のJR)の駅に荷物を持ち込むしか手立てがなかった。どちらも「親方日の丸」である。荷札をつけろとか、ひもでしっかり荷造りをしなさいなど、面倒な指示が多いうえに日数もかかる。「いつ着きますか」と尋ねると、「着くときに着く」と言われる始末だ。およそサービスとは言いがたい。

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