技術を武器にする経営 日本企業に必要なMOTとは何か

技術者が引きこもりやすい三つのタコツボ 伊丹 敬之、宮永 博史

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 そのメカニズムを単純化すればこうだ。担当者として優れた業績をあげた技術者が昇進してリーダーになる。ところが、リーダーになった技術者は、リーダーとしての役割を認識せずに、つまり技術外交などの必要性はまったく理解せずに、担当者時代に成功した仕事のやり方をそのまま踏襲してしまう。リーダーに対する社内教育もせいぜいプロジェクトマネジメントまでで、おそらく技術外交という科目は存在しないであろう。過去に技術外交を実践してきた優れたリーダーたちも、技術外交という言葉を持ち合わせていないために、後輩たちにその真髄をうまく伝えることができない。だから、技術外交が組織として蓄積されにくいのである。

 リーダーになったらリーダーになったで、改めてリーダーに求められる役割を徹底的に考えなければならない。担当者時代は、脇目もふらずに自分が担当する技術の開発だけに没頭すればそれでよかった。外部の情報収集や交渉など行う余裕も必要もなかった。しかし、開発リーダーは違う。プロジェクトの進捗という内向きのマネジメントと同時に、プロジェクトの外を向いた「技術外交」も同時にこなさなければならないのである。プロジェクトリーダーの場合、技術外交の対象は社外だけではない。社内も含めてプロジェクト外はすべてその対象となる。

 技術外交を意識しないリーダーは、ますますタコツボに入っていく。担当者が解決できない問題につい口を挟みたくなる。そのうち、口だけではおさまらず、手まで出したくなる。問題を解決できたとリーダーが自己満足に陥っている間に、技術外交が疎かになり、プロジェクト自体を無意味なものにしかねないのである。

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