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市場調査では見えてこないシニア市場 村田 裕之

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キーボード入力だと高齢者の回答率が下がる

 第二の入力インターフェイスについて。数年前に比べて現在は、65歳以上のネットユーザーの割合はかなり増えました。ところが、65歳以上の人では、キーボードでの入力より手書きを好む人の割合が依然として大きいのです。この理由は、一昔前に比べてかなり改善されたとはいえ、パソコンの使い勝手やキーボードでの入力インターフェイスが、まだまだ使いにくいことにあります。このため、年配者では自由コメント欄での入力が面倒になり、それゆえ回答率が低下する傾向があります。

 最近はアップルのSiriなど音声認識技術が以前より発達してきましたので、キーボードによらずに入力できる選択肢は増えました。しかし、まだ入力作業がまどろっこしいため、使っている人は少数派にとどまっています。

調査会社の母集団はバイアスがかかりやすい

 第三の母集団のバイアスについて。ネットアンケートを多用している調査会社では、回答者の属性を明らかにするために、あらかじめ会員プロファイルの登録を行っています。そして、調査のテーマごとに回答への参加を呼びかけ、回答者に一定の謝礼を支払うことで、母集団を確保するという手法が多いようです。

 ところが、こうした手法には、いくつかの面で母集団にバイアスがかかりやすくなる欠点があります。一つは、調査テーマの内容によって、母集団の数そのものが少なくなり、もはや統計学上の「大数の法則」を前提とした調査ではなくなることです。

 もう一つは、会員登録をしている人のなかには、回答に協力して謝礼をもらうことが動機となっている人が多いため、回答内容の信憑性が低下しやすいことです。言い換えると、回答者が「調査慣れ」しており、回答する時に、「また、いつものアンケートか、適当に答えておけばいいや」という気持ちになりやすいことです。

 また、第二の理由で述べた通り、ネットアンケート調査の母集団には、キーボード入力やパソコン利用に抵抗感の少ない「ITに強めの人」が多いのです。これも母集団にバイアスがかかることを意味します。

 ネットアンケート調査にまつわるこれまでの話は、アンケート調査という方法論そのものを否定しているのではありません。前述の通り、現時点の事実関係の確認という面では、回答者が真実を記入する限り、信憑性は保証されます。問題なのは、調査を行う主催者が、ネットアンケート調査に、その手法の構造上の適用限界があることをきちんと認識したうえで、設計し、実行しているのかどうかなのです。

 実は、アンケート以外のグループインタビューやフォーカスグループなど、すべての市場調査手法には、それぞれの適用限界があります。こうしたことはプロのリサーチャーであれば十分理解していることです。しかし、最近はネットアンケートしか知らない素人リサーチャーが増えており、これらの人たちが調査受託している場合は注意が必要です。

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