成功するシニアビジネスの教科書

市場調査では見えてこないシニア市場 村田 裕之

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回答内容は選択肢の作り方で信憑性が変化する

 一方、設問内容がこれまで自分が経験したことだとしても、回答の選択肢に自分の状態あるいは考えに合致する表現がない場合、回答しづらくなるため、回答内容の信憑性が下がります。

 たとえば、「あなたは、どんな気分の時に運動をしたいと思いますか?」という設問に対して、回答の選択肢が、(1)気分転換したい時、(2)体が疲れている時、(3)落ち込んだ時、(4)体重が増えた時、(5)運動不足だと感じた時、の5つとします。

 この設問に対して、あなたが仕事の締め切りが迫っているのに、一向に仕事がはかどらない状況の場合、どれを選択するでしょうか。おそらく(1)を選択する場合が多いと思われますが、(5)を選択する人も少なくないでしょう。気分が塞いでやる気が出ないのだとすれば、(3)を選択する人もいるでしょう。あるいは、脳こうそくで倒れた後、運よく機能回復した人なら、リハビリのために運動したいと思うでしょう。しかし、それに合致する選択肢がないので、回答せずにスキップするでしょう。

 アンケートの回答内容とは、このように選択肢の作り方で信憑性が大きく変化する性質があります。実は、回答選択肢の作り方だけでなく、設問文章や設問文章全体の文脈の巧拙によっても回答内容は大きく変わります。

 設問に答えれば答えるほど、回答者の問題意識を駆り立て、そのテーマへの関心が深まり、回答意欲が湧いてくる設問のデザインがある一方、設問内容が回答者の問題意識よりもレベルが低く、回答意欲がまったく湧かないという設問のデザインもあります。私が知る限り、世の中のアンケート調査の大半は、残念ながら後者です。

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