成功するシニアビジネスの教科書

市場調査では見えてこないシニア市場 村田 裕之

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アンケート調査では「事実確認」に徹する

未経験なことへの「意向」を尋ねると回答の信憑性は低下する

 アンケート調査という手法は、設問を回答者の「現状の事実関係の確認」に限定すれば、回答者が虚偽の回答をしない限り有用です。たとえば、性別、住所、年齢、生年月日、資格の有無などを尋ねる場合です。

 ところが、設問内容を未経験なことに対する「願望」や「意向」を尋ねる性質のものにすると、その回答の信憑性は著しく低下します。

 たとえば、40歳から60歳までの母集団に対する「あなたは、海外に数カ月滞在するロングステイをしてみたいと思いますか?」「ロングステイの場所は、カナダ、オーストラリア、タイ、マレーシアのどこがいいですか?」「ロングステイにいくらまで予算をつぎ込めますか?」などの設問の場合です。

 回答者は、自分が経験したことのない商品・サービスに対しては、実感が湧かないため「明確な判断基準」を持ちません。このため、回答への意識が希薄になりやすく、回答内容の信憑性が低下します。

 先ほどの母集団に「老後は田舎暮らしと都会暮らしと、どちらを希望しますか?」という設問をする場合も回答の信憑性が下がります。その理由は、まだ老後になっていない人に老後の生活を尋ねる点にあります。自分の老後が想像できない人に老後自分がどうなっているのかを尋ねても明確な回答は得られません。ちなみに、連載第2回の図表1-10で、50歳代の女性のうち、「わからない」と回答した人が28.7%と多かったのは、これが理由です。

 このような設問の場合、「この設問はよくわからないから適当に回答しておけ」という気持ちが回答者に起こりやすいのです。こうした理由から、未経験なことに対する設問の場合、アンケート調査結果の信憑性が下がります。

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