シニア市場に参入したいという企業担当者から必ず受ける質問の一つは、「シニアが何を必要としているか、そのニーズを知りたい」というものです。そして、その回答を得る手段として彼らが頻繁に行うのが市場調査です。今回は市場調査の限界と、シニアのニーズ把握のために本質的に必要なことについてお話しします。
すべての市場調査手法には適用限界がある
市場調査に基づいて開発しても実際に販売すると売れない
市場調査の定番として従来最も活用されてきたのは、紙によるアンケート調査です。しかし、この調査手法は多大な時間と手間を要し、それゆえコストもかかるものでした。これに代わって今やすっかり主流になったのが、インターネットを活用したネットアンケート調査です。
ネットアンケートだと紙によるアンケートにかかる時間や手間を大幅に低減できます。このため、一般企業だけでなく、大手新聞社でもネットアンケートの活用が主流になっています。こうした状況を見ていると、ネットアンケートは、より安いコストで市場調査をしたい企業のニーズに応え、すっかり市民権を得ているかのようです。
ところが、企業の現場では、こうした調査結果が、新商品の開発に役立つのか疑問に思っている担当者も多いようです。綿密な調査に基づいて開発した商品でも、実際に販売すると売れないことが多いからです。
市場調査が的外れになる理由
実は商品が売れない場合、その背景にはいろいろな理由があります。必ずしも市場調査だけのせいではありません。しかし、市場調査というものの結果が的外れである場合は少なくありません。
市場調査の結果が的外れになる理由は、そもそも、どんな市場調査にもその限界があることです。そうした限界をきちんと理解しないで、調査結果を鵜呑みにするために、商品が売れない確率を上げてしまうのです。特にネットアンケート調査という手法は構造的な限界が大きいため、調査結果がトンチンカンな内容になりやすいので注意が必要です。
ネットアンケート調査は、アンケート調査をインターネット上で行うことです。したがって、ネットアンケート調査の限界とは、(1)アンケート調査の限界と(2)インターネットで行うことの限界とが組み合わさったものとなります。以下、この2つを順に考えてみます。