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世代原体験とシニア消費行動の関係を読む 村田 裕之

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40歳代以降には「ノスタルジー消費」が起きやすい

 ノスタルジー消費とは世代原体験を懐かしんで生まれる消費形態です。復刻版CDやDVD、映画のリメイクなどが売れる場合、これに当たります。映画「ALWAYS三丁目の夕日」は、昭和30年代を舞台にした西岸良平の漫画「三丁目の夕日(夕焼けの詩)」を原作としたもので、建設中の東京タワーや上野駅、蒸気機関車C62、東京都電、ダイハツの三輪自動車ミゼットなど、当時の東京の街並みを再現させたことで団塊の世代以降の世代に大ヒットしました。

 2014年1月末で終了しましたが、浅草にあった「昭和歌謡コシダカシアター」は、「シャボン玉ホリデー」など懐かしの昭和歌謡によるショー専用の劇場で、はとバスのコースにも組み込まれ、多くの年長者が通っていました。代官山の蔦屋書店には、60年代・70年代にヒットした名作映画のDVDや復刻版CDが豊富に取り揃えてあり、年長者の利用が目立ちます。

 ノスタルジー消費は、世代原体験後20年以上の時間が経過した頃によく見られます。言い換えると、当該世代が40歳代以降に達してから見られやすい消費形態と言えます。

50歳代以降には「時間解放型消費」が起きやすい

 「時間解放型消費」とは、子育て終了や転勤、退職などをきっかけに時間の拘束から解放されて起こる消費形態です。これには、昔やっていたことにもう一度取り組むことで自分らしさを取り戻そうとする「自己復活消費」、昔は経済的にも時間的にも実現できなかった夢を、今実現する「夢実現消費」があります。

 「自己復活消費」の対象には、音楽バンド、社交ダンス、絵画、登山、写真など、学生時代や20歳代に注力していたものが多いようです。日常生活では倹約気味の人でも、ギター演奏が好きでバンドに参加している人は、50万円のギターを買うことも厭わないのです。本格的に登山をする人は、プロ仕様の登山靴や登山用品に何十万円もお金をかけます。

 一方、「夢実現消費」の対象は、高級オーディオ(高級アナログプレーヤー、真空管アンプ、大型スピーカーなど)、楽器演奏、スポーツカー、ラジコン、プラモデル、ダイビング、世界一周旅行など人によってさまざまです。近年のアナログレコード復興ブームは、学生時代にアナログレコードとオーディオに凝っていたものの、お金がなくて高級品には手を出せなかった人たちがけん引しています。

 企業の商品・サービスで見ると、たとえば、ヤマハ大人の音楽レッスンは、こうした「夢実現消費」を後押ししてくれるサービスとして根強い人気があります。また、トヨタの86(ハチロク)は、若い頃スポーツカーに憧れていたのに買えなかった人たちへの夢実現機会の提供です。

 こうした「時間解放型消費」は、経済的にも時間的にも余裕のできる50歳代以降に多く見られます。

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