成功するシニアビジネスの教科書

シニアの消費行動はいかにして起きるか 村田 裕之

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 まず、支出が減少するものは、教育費、被服・履物費です。これら以外に食費や教養・娯楽費も支出は減りますが、支出全体における割合は増えます。次に、支出が増加するものは、保健医療費です。これは医療や介護、健康維持などにかかる支出です。最後に、支出が変わらないものは、住居費、光熱・水道費です。この理由は、多くの人が50歳代まで住んでいる家にその後も住み続けるので、家族構成が変化しても出費があまり変わらないからです。

 このように50歳代、60歳代、70歳代では支出の仕方が異なります。この違いがあることは50歳代以上の人であれば感覚的に理解しやすいでしょう。ところが、40歳代より若い人には、これがなかなか理解しにくいようです。20歳代、30歳代の人は、自分が60歳代、70歳代になった時のことは想像できないし、想像したくもないのが普通でしょう。

 流通・小売業では前掲の「55歳以上をシニア」と定義する例がよく見られます。この理由は、流通・小売業界では、長年主要ターゲット顧客を、主婦を中心とする「19歳から54歳」までのファミリー層と定めており、それ以上の年齢層はひとくくりにシニア層と扱ってきたことによります。高度成長期に業容が拡大したスーパーマーケット、ダイエーのかつてのキャッチフレーズは「主婦の店 ダイエー」でした。このキャッチに、この業界の主要ターゲット顧客に対する見方が示されています。

 しかし、現代は高度成長期ではありません。「55歳以上をシニア」といった大雑把なくくり方をすると、市場を見誤る原因になるので注意が必要です。

真実(3) シニア層でも、年代が変われば消費の仕方は異なる
村田裕之 著 『成功するシニアビジネスの教科書』(日本経済新聞出版社、2014年)第1章から
村田 裕之(むらた ひろゆき)
新潟県生まれ。1987年東北大学大学院工学研究科修了。民間企業勤務後、仏国立ポンゼショセ工科大学院国際経営学科修了。日本総合研究所等を経て、2002年3月村田アソシエイツ設立、同社代表に就任。06年2月東北大学特任教授、09年10月東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同センター特任教授。シニアビジネス分野のパイオニアであり、多くの民間企業の新事業開発に参画し、シニア向け事業をプロデュースしてきた。

キーワード:経営、企画、営業、人事、経営層、管理職、プレーヤー、マーケティング、人材、研修

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