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シニア市場は「多様なミクロ市場の集合体」 村田 裕之

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 シニア層に関する俗説を続けて見ていきましょう。

俗説(5) シニア市場は、人数の多いマス・マーケットである

 シニア層の消費行動は、若年層に比べると非常に多様でバラバラになります。団塊世代は、他の世代に比べて人数は多いのですが、みんなが同じ消費行動を取るわけではありません。

 モノが少ない高度成長期は、多くの人が戦後の貧しい時代からの脱出を目指し、同じような収入レベルで、同じような生活スタイルを送っていました。その時代には、顧客を一つの「カタマリ」と見なし、大量生産、大量流通、大量販売し、それが大量消費されることが成立しました。堺屋太一氏が命名した「団塊の世代」という言葉は、「大きなかたまりの世代」という意味です。命名した時期には、その時代を象徴する言葉として的を射ていました。

 ところが、広く一般化したこの言葉も、モノにあふれた現代には、もはやそぐいません。もちろん、団塊世代と命名された1947年から1949年生まれの人口の多い世代は、今も存在します。しかし、他の世代に比べて人口が多いことと、その世代の人たちが似通った消費行動を取ることとは、別のことです。

 これまで述べたように、消費行動の多様化の結果、もはや団塊世代という一様の「カタマリ」は壊れ、多様な「小グループ」に再編されつつあります。つまり、団塊世代は、団"壊"世代になっているのです。

 したがって、私は10年以上前から主張していますが、シニア市場はマス・マーケットではなく「多様なミクロ市場の集合体」なのです。こういう性質の市場では、マス・マーケティングがやりにくくなります。

 ただ、誤解がないように補足すると、マスメディアの威力が全然なくなったというわけではありません。マスメディアの効用が変わってきているのです。したがって、商品提供側はマスメディアの使い方を工夫しないといけません。一昔前のように、新聞に大きな広告をばんばん出したら商品が売れるわけではありません。

 シニア市場とは「年齢」ではなく、顧客が求める「価値」で括られる市場と認識すべきです。その価値が何なのかをいち早く見つけ出すことがシニア市場でビジネスを成功させるカギとなります。

真実(5) シニア市場は、顧客価値で括られる多様なミクロ市場の集合体である

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