営業改革、失敗の法則――そんな営業部ではダメになる

"現場経験"という妄想が営業マニュアル軽視を生む 藤本 篤志氏

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 一人ひとりのモチベーションのあり方は微妙に違うので、マネジメントのモデルパターンは作り難いが、押さえるツボとしては、次の三つがある。

(1)左遷意識(嫌な部署にきた意識)

(2)一人ぼっち意識

(3)教えてもらえない意識

 既に書いた通り、営業部は不人気部署なので「左遷された」「嫌な部署にきた」というような意識を持つことによりモチベーションが下がる一方の営業マンは多い。この類のモチベーションをケアするためには、営業という仕事の面白さを教えることが一番だ。基本的な営業知識を丁寧に教え、きめ細かく日次活動のアドバイスを繰り返し、部下の能力では対応できそうにない商談には同行営業して実践の商談ノウハウを目の前で見せる、という地道なマネジメントを繰り返すことで営業能力が向上する実感を抱かせることだ。もちろん、営業結果もそれに伴わなければならない。

 営業マンであれば、一人ぼっち意識は誰もが持つ。中には、内勤者と違って一人で仕事ができ、好きなときに外出できるから嬉しい、という営業マンもいるので一概には言えないが、この一人ぼっち意識は、営業成績が不調になればなるほど膨れ上がってしまう。営業成績が不調ということは、お客様との商談でも楽しい時間が少ないので、ますます内に籠ってしまう。さすがに、つねに同行営業やペア営業をするわけにはいかないので、物理的な解決方法はないが、せめて「商談そのものは一人だが、その商談をいつも気に掛けてくれる営業マネジャーがいる」という気持ちになってもらうために、可能な限り日次でヒアリングを行ない、アドバイスをしてあげるべきなのだ。この"日次ヒアリング"によるモチベーション・ケアは想像以上に効果がある。

 最後に、教えてもらえない意識に陥る営業マンも多い。営業日報をせっせと書いても、営業マネジャーからはアドバイスのひとつもない。営業会議では、成績の悪い営業マンは怒られてばかりで、どのようにすればいいかというアドバイスを教えてもらえない。また、怖くて聞けない。同僚に教えてもらおうとしても、営業中はバラバラなので教えてもらえない。となり、モチベーションは下がる一方だ。この意識も、一人ぼっち意識と同様、"日次ヒアリング"によるきめ細かな日々のアドバイスが特効薬になる。

 以上、営業は人の営みである限り、モチベーション・ケアを軽視して営業改革が成功することはない。

藤本篤志 著 『そんな営業部ではダメになる』(日本経済新聞出版社、2014年)第一章から
藤本 篤志(ふじもと あつし)
1961年大阪生まれ。大阪市立大学法学部卒。株式会社USEN取締役、株式会社スタッフサービス・ホールディングス取締役を歴任。2005年7月、株式会社グランド・デザインズを設立。代表取締役に就任、現在に至る。営業プレーヤー、営業マネージャーの両面で会社トップの成績を収め続けた経験を活かして、主に営業分野、マネジメント分野におけるコンサルティング活動、講演活動、研修活動などを展開する。

キーワード:経営層、管理職、経営、営業、マーケティング、人事、人材、研修、働き方改革

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