営業改革、失敗の法則――そんな営業部ではダメになる

"現場経験"という妄想が営業マニュアル軽視を生む 藤本 篤志氏

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 自力発育が遅い人は、いつまで経っても"偶発遭遇"や"顔出継続"の受注以外に商談をまとめることができないので、年数が経つにつれての目標アップに対応できなくなり、ダメ営業の烙印を押されてしまうことになる。一度そうなってしまうと、ストレスを感じ、モチベーションが下がり、営業量が少なくなり、"偶発遭遇"や"顔出継続"も減少し、さらに営業成績が悪くなり、という負のスパイラルに陥りやすい。元々、営業ノウハウを系統的にきっちりと教育を受けていない分、負のスパイラルに入ってしまうと脆もろいものだ。自分の力ではどうしようもできない。

 営業マンの転職が、他の分野よりも多いと言われているのは、このような状態に陥り、首を切られるか、切られる前に辞めるか、という強迫観念に支配されてしまいやすいからだ。

 このすべては、第一歩が間違っているからだ。現場経験が営業マンを育てるという妄想を信じ、初期の営業研修を軽視するからだ。営業という仕事は、立派な専門職としての7つの基本知識をきっちりと覚えることが何よりも大切だ(詳しくは書籍の第二章を参照)。けっして営業研修を軽視してはならない。

 以上のように考察することで、営業改革のプログラムの中に、徹底した営業知識の再研修を組み込むことが需要な施策のひとつになるということがわかるが、残念ながら、その取り組みを重視している営業部は少ない。

営業マニュアル軽視のツケ

 営業知識の学習方法は、営業研修や現場経験だけではない。上司の指導も営業知識を身に付ける重要なチャンネルだ。したがって、上司の面倒見の良さが部下育成に大きく寄与する。言い換えれば、結果管理にしか関心がなく、成績の悪い営業マンを罵倒するだけの上司からは、部下は育ちにくい。それどころか、営業マンが定着しない。

 また、部下の面倒見の良い営業マネジャーがいくら揃っても、営業マネジャーによって教えることがバラバラでは、配属される営業部によって、営業マンの営業知識の量や質、それに育成速度がバラバラになってしまう。

 例えば、個人宅新規開拓営業において、ある営業マネジャーは電話営業のノウハウばかり教え、ある営業マネジャーは飛び込み営業のノウハウばかり教え、ある営業マネジャーはイベント企画のノウハウばかり教えるということになると、配属される営業チームによって伸びる営業能力が異なるということになってしまう。しかも、営業マネジャーの関心のある営業ノウハウで営業させようとする傾向にどうしてもなってしまうので、業績が上がりにくい営業手法を中心に教える営業チームに配属された部下にとっては、ありがた迷惑となる。

 大切なことは、その会社にとって必要な営業知識が、どの部署に配属されても、均一かつ均質に教えることができる体制を準備しておくことだ。

 そのための重要な施策は、営業マニュアルとなる。

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