営業改革、失敗の法則――そんな営業部ではダメになる

元スーパー営業の成功体験と言い訳が営業改革のブレーキになる 藤本 篤志氏

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侮ってはいけない営業マンの言い訳能力

 「営業量倍増作戦がスタートして早や三か月が経ちました。ところが、営業量がほとんど変わっていない営業マンが約3割もいます。〇〇支店の△△課長にお尋ねします。△△課長の部下4名は全員が営業量に変化がありません。また、営業成績も微増程度で未達成が続いています。なぜ、営業量が変わらないのでしょうか?」

 「私もその部分が気になって、部下に確認しました。すると、部下4人ともが言うには、『数字的には平均営業件数が同じに見えると思いますが、実はその中身が大幅に変わっているのです。これは4名で話し合って決めたのですが、業績に直結しない商談を極力やめ、業績に直結すると思われる脈有り度が高い商談件数を倍ぐらいに増やしているのです。見た目の商談件数は変わりませんが、有効商談件数は倍増していますので、営業量倍増作戦の通りに動いているといってもいいと思うのですが......』ということでした」

 「その報告を聞いて、△△課長はどう感じたのでしょうか?」

 「彼らの言うことも一理あるなと正直思いました」

 「有効商談件数が倍増したのであれば、業績がそれに連動するはずですが、その兆候が見えないのはどうしてでしょうか?」

 「......」

 「また、有効商談というのはどのような商談を指すのか確かめましたか?」

 「......。いえ、確かめていません」

 このやり取りは、部下の言い訳を鵜呑みにした典型例と言える。確かに、「有効商談件数は倍増していますので、営業量倍増作戦の通りに動いている」という切り返しは、「それもそうだ」と思わせる部分もある。なかなか上手い考え方だ。しかし、所詮、これは言い訳に過ぎない。業績がアップしていないことからも明らかだ。「業績アップしていれば、有効商談件数の倍増という考え方は、言い訳ではなく、優れた作戦ということが言えるのでしょうか?」という質問もたまにあるが、いままで業績が悪かった営業マンが、有効商談件数を倍増して業績アップすることは"ほぼない"と断言しても良い。つまり、このような考え方そのものが、所詮言い訳なのだ。

 なぜなら、業績が悪い営業マンが、「どれが有効商談で、どれが非有効商談か」ということを区分けなんかできないからだ。本当にそんなことができるのであれば、元々、成績が良いはずだ。また、いままでと同じ営業量でどのように有効商談を倍に増やしたのだろうか? アプローチの量も変わっていないはずなのに。そのようなマジックはあり得ない。それとも、4人が4人とも、元々、目標達成の実力が充分にありながら、わざと成績を悪くしていたのであろうか? それであれば、△△課長はマネジャー失格ということになる。

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