トヨタ式リーダー育成法

「失敗に学ぶ」「失敗を繰り返さない」精神を具現化する 三澤 一文

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 次に、日本で設計したクルマと現地に合うクルマの仕様とのギャップがどこにあるかを詳細にチェックしました。寒冷地では、ヒーターや霜取りの機能が不足することは想定どおりでしたが、想定外のギャップも多く発見しました。たとえば、現地のハイウェイの加速レーンがトヨタの想定より短かったので、十分な暖気運転がされる前にフルアクセルを踏むと、故障する可能性がある、といった内容です。

 また、現地でのさまざまな評価結果を、日本のチームも交えて緊密に共有して、改善が効率的に進むようにしました。具体的には、現地からの情報を技術チームが正確に把握、解析し、その結果をすぐに生産やテスト側と協議し、必要な改良をする、というPDCAのプロセスを太平洋横断で築きました。

 以上のように、実行の結果とプロセスを客観的に振り返るサイクルを繰り返すことで、トヨタの中で、世界中のお客さまの利用状況に合わせたクルマづくりが定着しました。

 ここでのポイントは以下の2つです。

 1点目は、問題解決の実行の振り返りは、結果だけでなく、プロセスも対象にしなければいけません。いわゆる「結果オーライ」は、トヨタの問題解決では不可です。前記の事例では、クラウンの北米市場投入の大失敗を振り返って、もしかしたら急場しのぎで、日本から大人数で出張し、大量のテストを現地で実施することもありえたかもしれません。しかし、それでは当時のトヨタの技術者の層を考えると、恒久的な問題解決にはつながりません。北米クラウンでの失敗経験を、プロセスからもしっかりと振り返ったからこそ、このとき、現地拠点を新設する決断ができたわけです。

 2点目は、評価結果を問題解決の関係者間でしっかり共有することです。それらの情報の共有ができないと、前記の事例のようなPDCAサイクルが成立しません。チームの一部に重要な情報がとどまったり、迅速なアクションを起こさない、起こせないメンバーが出ないよう、情報の視える化にも留意しましょう。

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