トヨタ式リーダー育成法

「失敗に学ぶ」「失敗を繰り返さない」精神を具現化する 三澤 一文

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 ある朝、経理部・藤井のチームの朝礼で、リーダーが苦虫を噛みつぶしたような顔で某関係会社の問題の件を話し始めた。

「困ったことが起きた。うちのある関係会社の利益が急に下方修正される可能性があることがわかった。それも、結構な額だ」

 要は、トヨタの得意とする「フロント・ローディング」とは真逆の「遅きに失した」可能性があるらしい。

「リーダー、それはまた突然な話ですね。何か想定外の特別なことが起きたのですか?」

「いや、そうじゃない。俺からいわせれば、何年も前から想定できた話だ。いろいろな業界で業者間の価格交渉力に変化が起きていることはよくある話だよな。この関係会社もグローバルの構造的な波に飲み込まれて、このところ価格交渉力が低下していたことは事実だ。しかし、あまりにそれへの対応が遅い。至急何か手を打たないと、実にまずいことになる。ということで藤井君、さっそくあの会社に行って、先方と対策を考えてくれ。時間がない」

「はい、リーダー。わかりました、すぐ先方に向かいます」

内心、藤井は俺かよ、と思ったが、そこはおくびにも出さないし、出せない。

「それと、今後もこんなことが起きないように、しっかりと振り返りをしておいてくれよ。今回のように後手に回るとろくなことがないからな、まったく」

 ひどく機嫌の悪かったリーダーの朝礼が終わったところで、藤井はすぐにかの関係会社に向かった。

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