トヨタ式リーダー育成法

「大部屋活動」に学ぶチームの集中力と実行力 三澤 一文

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 トヨタ自動車はグループ内でリーダー人材を次々に輩出し、業界トップの座を守り続けています。のみならず、リーダーたちが身に付けた経営手法は、他業界にも移植され、成果を上げています。そんなトヨタが、リーダーたちに何を伝え、どういう経験を積ませてきたのかを知ることは、いまの日本企業に対してとても重要なヒントを与えてくれるはずです。

 本連載は、筆者自身がコンサルタントとしてトヨタの人材育成をお手伝いした中で出会ったみなさんの事例を、架空のストーリーとして脚色し、冒頭でOJTストーリーとして紹介。その後の「基礎編」で、トヨタの現場で叩き込まれる問題解決手法の基本を解説しています。

OJTストーリー

「匠」の技と「工業化」の二律背反を解決する

 まず、トヨタ社員の生の声を紹介する。

「匠の世界の仕事が多いので、そもそもスキルの共有化、横展開は難しい」
「個人商店の集まりのような組織だ」
「言った者負けになる風土があるので、言わない」
「部署ごとの責任が不明確だから、その場その場で処理する仕事が多すぎる」
「部署名は変わったが、仕事そのものや流れは変わっていない」
「仕事の実態が変わっていないので、新しい情報システム構築の投資はムダ」
「次代を任せられる経営リーダーが見つからない」......

OJTとOff-JTの違いに愕然

 昨年、トヨタの経営リーダー研修を受講するにあたり、人事部の石川は、リーダーシップ論の基礎から勉強する必要性を感じた。そこで、有名なコッター教授の『変革型リーダーシップ論』を研修前に熟読することにした。石川にとって、もっとも大事だと思った部分は「コッターの8段階変革プロセス」という内容で、要は、人と組織を動かすには次の8ステップが必要ということらしい。(1)危機感を高める、(2)変革革新チームをつくる、(3)適切なビジョンをつくる、(4)変革のビジョンを周知徹底する、(5)従業員の自発的な成果をだす、(6)短期的な成果をだす、(7)さらに成果を進める、(8)変革を根付かせる。

(なるほど。ただ、トヨタの問題解決ステップも8段階で、何となく似ている感じがしないでもない。まあ、いずれにしても、コッター理論を頭に入れておけばリーダー研修で恥をかくことはないだろう)

 石川の経営リーダー研修は、無事、受講修了した。しかし翌年、石川にとっての「本当の変革」のチャレンジが待っていた。

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