現場スピードを極める情報活用

「ダメな情報活用」を改める3つの鉄則 日経BPビジョナリー経営研究所 谷島宣之

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価値を生む資産(データ)を「きちんと守る」

 「きちんと守る」対象は何と言ってもデータである。企業や団体が保有しているデータこそが価値を生む資産であって、データを処理する情報システムが価値を生んでいるわけではない。

 データを守ると聞くと漏洩対策が思い浮かぶ。ネットワークを通じて社外から情報システムに侵入され、データを持ち出されたり破壊されたりすることがないように対策をとる。社員がデータを勝手に持ち出すことを防ぐため、入退室を制限したり、データを利用できる権限を設定したりしておく。

 情報漏洩を起こしてしまうと大きく報じられるため、企業や団体の多くは相応の配慮をしている。ただし「きちんと守る」といった場合、データの品質にも注意すべきである。漏れないように厳重に守ったとしても、そのデータの品質が悪ければ資産とは呼べない。データ品質の維持には複数の対策が必要になる。前述したマスターメンテナンスをしっかり実施する、異常値が入力された場合にシステムが検知する機能を用意する、任意のデータを定期的に取りだし正しいかどうかを確認する、といった活動がある。

 事業部門が自分で作ったシステムにおいて、上記の「きちんと守る」取り組みをするのは難しい。情報保護の機能やデータ品質管理の仕組みが用意されているパッケージやクラウドを利用するか、自作したシステムの利用が進んでデータ量が増えてきた段階で、情報システム部門やIT企業に相談したほうがよい。本来ならシステムを利用する当初から守る対策をしなければいけないが、事業部門の中だけで使うシステムを自分で作った場合、そこまで手が回らないことが多い。

いつかは来る、標準ルールに沿って「律する」時期

 事業部門は自分で使う情報システムについて自分で決め、できれば自分で作る。これが情報活用を成功させる鉄則だと説明した。ただし、そのシステムを少しずつ成長させていくと、「守る」対策のように事業部門の手に余る仕事が出てくるので、そこについては情報システム部門やITベンダーに任せたほうがよい。

 50年間のコンピューター利用史を振り返ると、こうしたことが何度か繰り返されてきた。すでに述べた通り、情報システムはもともと事業部門が作り始めた。その後、システム部門がまとめて面倒をみるようになったが、「遅い・高い・まずい」という問題が出て、最近再び事業部門が自分でシステムを作ったり用意したりする動きが出てきた。そうした動きについて、時代ごとに「分散処理」「エンドユーザーコンピューティング」「オープンシステム」といった呼び名が付けられた。いずれの時代においても事業部門がある程度までシステムを作り修整するものの、最後は情報システム部門に委ねていた。

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