現場スピードを極める情報活用

「ダメな情報活用」を改める3つの鉄則 日経BPビジョナリー経営研究所 谷島宣之

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 ドラッカー氏の指摘を当たり前と思われたかもしれないが、情報活用に関する問題の大半は「当たり前ができていない」ことに起因する。各事業部門は自分の事業については分かっているだろうが、仕事をどう変えたらより素早く進められるか、そのためにどういう情報が必要か、といったことを自分で考え出せるとは限らない。そこで情報システム部門やITベンダーといった部門外の人と話し合い、改善案と必要な情報を整理しようとするわけだが、それには本業から離れて一定の時間を費やさなければならない。

 10数年前、「事前に約束した納期通りにシステムを開発し納品する」ことを売り物に急成長していた米国のIT関連企業があった。その企業にやり方を尋ねると、仕掛けを教えてくれた。

 顧客が求めるシステムの概要を聞いた後、納期までの工程表を作り、「この時期とこの時期に、意思決定ができるキーパーソンを必ず会議に出席させてほしい」と要請する。顧客が了承すれば開発を始めるが、所定の時期に顧客のキーパーソンが会議に出席できず、決めるべきことを決めなかったら、契約不履行をみなし、納期厳守はできないと通告する。

 このやり方は日本でなかなか通じなかったようだが、決めるべきことを自分で決めることがいかに重要か、それが分かる例だと思ったので紹介した。

環境変化が速いからこそ「自分で作る」

 「自分で決めるのは当然だ。必要なことはこちらで決め、情報システム部門に伝え、会議にもきちんと出席している。それでもシステム部門と開発を請け負ったITベンダーは要望通りのシステムを作ってこなかった」。

 こうした批判もある。こうなると情報システム部門やITベンダーの力量の問題になってくる。問われるのは、事業部門の要望を整理し、情報システムを設計する力である。

 さらに悩ましいのは、事業環境の変化が速くなり、情報システムを開発しているうちに、システムに求める機能が変わってしまうことである。たとえば営業活動の支援、顧客情報の利用、業績管理といったシステムはその時々の事業方針によって大きく変わる。

 以上の問題に対処するために「自分で決める」から踏み込み、「自分で作る」やり方がある。自分で考え、自分で決め、そのまま情報システムを作ってしまえば、誰かに頼むことで生じる誤解は無くなり、開発期間を短くできる。変更することになっても、自分が作ったシステムであれば自分ですぐに直せる。

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