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ソフト業界に新陳代謝もたらす"起業のインフラ" ITジャーナリスト 田中克己氏

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――なるほど、確かに「クラウド」というインフラが起業を後押ししている点はうなずける。では、そうした経営者たちが立ち上げたビジネスは、どのようなものなのか。

 いろいろあるが、元ITベンダーの技術者で「今までの仕事のやり方はダメだ!」と起業した、インパクトのある事例は「ジョイゾー」だろうか。大胆なことに、このベンチャーは39万円という低価格でシステムを開発する「システム39」というサービスを始めた。4回の打ち合わせ(1回あたり2時間)でクラウド上にシステムを完成させ、追加料金はなしだ。

 もちろん、4回の打ち合わせで完成できる範囲のシステムしか請け負わないわけだが、そこには2つの重要な意味がある。

 まず、必ずしも「顧客の言うとおりに作る」わけではなく、顧客と相談しながら開発の範囲を「本当に必要な機能だけ」に絞り込んでいくこと。これにより費用対効果の小さい無駄な機能を省き、従来の受託ソフト開発と比べて「早く安く」を実現するのだ。

 もう1つは、小さくても費用対効果の高いシステムをすぐに稼働させ、顧客がシステム化の成果をすぐに受け取れるようにしていること。もっと機能が必要であれば、「システム39」のサービスを繰り返し利用すればよい。

初回の打ち合わせは無料

 顧客が安心して発注できるように、初回の打ち合わせを無料にしているところも面白い。生産性の高いクラウド型の開発ツールを使い、初回の打ち合わせでシステムの骨格(全体の6~8割)をさっと作って顧客に見せる。もしその時点で不満があれば、顧客はコスト負担なしで開発をやめてもいい。

――「初回は無料」というのは、ベンダー側も自信があるということなのか。それはさておき、リスクが小さいから、顧客も「試しにやってみるか」という気になりやすそうだ。

 そう。顧客側にしてみれば、完成したシステムを見て「これはイメージしていたものと違う」というリスクがなく、人月ベースの受託ソフト開発でしばしば問題になる「予算超過」の心配もない。開発したシステムは、利用するクラウドの料金を含んだ定額で提供されるが、いつでも解約できる。

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